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不合格体験記(受験生の皆さんへ) 筆者:橋本 光央

私が予備校で働いていたとき、生徒たちに「現役合格ができなかった理由」を考えてもらったことがあります。

不合格になったことから学ぶことも多いと思ったからです。

今回は、ある生徒の「不合格体験記」をご紹介したいと思います。

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高校時代、私は友達から「大人しくて真面目な子」と思われていました。だから、あだ名は「キッチュ」。几帳面にノートを取っていて、しかも家で清書までしていたからです。


実は、ほとんど予習をせず、ただ何となく授業に出ているだけでした。

しかし、授業に出ても先生の話は全く理解できなかったので、とりあえず黒板に書かれたことをノートに写していました。「家に帰って復習すると、分かるはずだ」と思ったからです。でも、家に帰ってその日のノートを見ても、全然理解できませんでした。


そこで、私はノートの清書を始めました。ノートをきれいにまとめ直すと、それだけで気持ちよく、爽快感さえありました。だから、清書することが勉強だと思っていました。

ノートを清書することで安心し、「勉強をした」という錯覚におちいっていたのです。つまり、家で復習しようとしても何もできないから、ノートの清書で自分をごまかしていただけなのです。

成績がアップするはずもありません。


結局、現役合格ができなくて、予備校に通うようになりました。最初は不本意でしたが、予備校で勉強をするようになって分かったことがあります。

それは、授業が大切だということです。

予習をして、それで分らなかったところを授業で理解する。そうすると、きれいなノートを作らなくても自分が分かるノート作りができるようになったのです。


そこで結論。

「きれいなノートは自己満足。やっぱり授業が大切なんだ」

という当たり前のことが、最も大切だと分かりました。

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(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)

【筆者プロフィール】
1989年より、大阪北予備校に勤務。
2007年より、大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』等に作品掲載あり。

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