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“育てる”ことの大切さ(最終回) 筆者:阿部 三千雄

今年は、季節はずれの大雨や高温で、家庭菜園は大きな被害を受けた。ナス、トマト、キュウリなど、菜園の「常連」は、生育不良や病害虫の被害も重なって、収穫できない状態がつづいていた。

しかし、ここへきて、高温ながらもなんとか回復してきて、あちこちの庭に、キュウリやミニトマトなどが目につくようになった。生命力の強さが、こうした自然環境の厳しさをのり越えたのだ。

しかし、その裏には、これらの野菜類をよく観察して手入れをし、肥料や水なども適切に施して育ててやった人間の力があずかっていることを、忘れてはならない。


さて、「教育」とは文字どおり、教えることと育てることの両方が大切なはずだが、最近の大学の状況を見ていると、教えることはできても“人間を育てる”ことがあまりできていないのではないか、と疑問を持つことも多い。

それは、大学の経営を重要視するあまり、多くの学生を獲得しなければという思いが強すぎて、入学後のフォローがいささか手薄になっているのではないか。


大学(学部)進学率が今年53.3%(浪人含む)になったことは、それだけ、高等教育を受ける人が増えたと喜ぶと同時に、大学は入学した学生を、有用な社会人として世に送り出すために、もっともっと“人間を育てる”ための環境づくりに、全力で取り組んでほしいと願っているのだが・・・


「家庭菜園から大学の現状」というテーマで、7回寄稿させていただいた。野菜も人間も、育て方次第で、その結果は大きく変わる。

これからは可能な限り、高等教育を見守り、そして、若い人たちの助けとなるように生きていきたい。

ご愛読、ありがとうございました。

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