クラス担任 筆者:羽根田 ひとみ 更新日: 2018年8月7日
3月1日は卒業式だった。
息子と一緒に車で高校に向かった。
久しぶりの道のりだ。
土日、部活動の送り迎えで夜明けに通った道。
洗濯物が乾かず、車のエアコン出口で乾かしながら行ったことなど思い出しながら向かう。
卒業式はやはりいいものだ。
気持ちが凛とする。
退場時、森山直太朗の「さくら」が流れ、学ランを着た男子生徒(工業高校だったのでほとんどが男子)が涙したり、笑顔で歩く姿を見て、保護者席では多くの親がハンカチを目にしていた。
ホームルームに戻ると、黒板には、担任の先生による生徒に贈る言葉が書かれていた。
そして、保護者に対するお礼、連絡事項が告げられ、
「活動費残高4816円は、先日生徒を通してお返し致しました。ご協力ありがとうございました」
と、読み上げた途端、保護者と一部生徒からどっと笑いが上がった。
その後、数名の生徒たちのスピーチがあった。
最後の子が「みんなと一緒に卒業できて良かった」と、言うと先生が初めて涙した。
「40人入学して、40人卒業、送り出せたことが嬉しい」と。
私が高校入学した当時のことだが、担任の先生が初めてのホームルームで
「私の願いはここにいる全員が誰一人欠けることなく、無事卒業させることです」
と言ったことを思い出した。
卒業は当たり前のことだと思っていた私だったが、担任の先生はどんな思いで生徒を受け入れ無事に送り出そうとしたのか。。。
当時、あだ名を付けられ、靴まで隠された担任の先生のためにそろそろ、また同窓会を企画しようと思った。
息子のクラスは、ほとんど男子ばかりきっと、いろいろやんちゃをしでかしたのだろう。
たくさんの気苦労させたお詫びと、心からのお礼を申し上げたい。
そして、彼らが成長したとき、先生を囲んだ再会を期待したい。