魅力ある地方の伝統野菜 筆者:阿部 三千雄 更新日: 2018年8月30日
家庭菜園でキャリアのある人が作ってみたい野菜類に、全国各地に残る“伝統野菜”がある。
京都のミブナや鹿ヶ谷カボチャ、東京江戸川区のコマツナ、丹波地方の丹波黒と呼ばれる黒豆、寒い東北で作られる小さな民田(みんでん)ナスなど、数えあげればきりがない。その中で、とくにカブは、縄文時代には日本へ伝わったとされ、北海道から九州まで、約80種類もの地方品種があるという。
いずれも個性豊かな地方品種として、いまもしっかりと地元の農家に守られながら、栽培されている。
こうした個性豊かな伝統野菜を知るにつれ、ふと地方の大学にもそれに似た、伝統と個性のある大学・学部が残っていることに気づいた。
戦後、旧制の高等学校や専門学校が、高等教育の制度改革により、一斉に新制大学として生れ変わったが、その中に、いまも旧制時代の矜持を捨てずに、地元の高等教育機関の大黒柱としてしっかり学生たちを教育し、成果を上げているところがあるのだ。
「駅弁大学」や「就職予備校」などと、新制大学への風当たりも強かったが、これらの地方大学は、しっかりと教育理念を掲げて、教育と学生たちを守ってきたのだ。
いま、多くの受験生が卒業後の就職を考えて、大都市圏への大学進学を希望するため、地方大学への進学者数が減少しているという。
受験生は、地方大学の伝統や特色、何を学べるかなどもよく検討して進学先を決め、限られた4年間を実り多いものにしてほしい。