『なんで勉強せなアカンの?』(全文掲載) 筆者・橋本光央 更新日: 2018年10月24日
「なんで勉強せなアカンの?」
そんなことを考えたこと、ありませんか。
それに対する答えとして
「勉強なんかせんでも、生きていける!」
そんなふうに結論づけたこと、ありませんか。
例えばあなたが、学校の先生やお父さん・お母さんに
「なんで勉強せなアカンの」って聞いたら、どう応えてくれるでしょう。
まさか、「入試があるから」なんて
直球・ストレートど真ん中な解答をする方はおられないでしょうけど……
「夢を叶えるため」とか「可能性を広げるため」なんて
キレイな言葉で応えたことがあるんじゃないですか。
確かに「夢や可能性」って素晴らしい言葉だと思います。
「夢を叶える」「可能性を広げる」なんて言われたら、
もう誰も、否定なんてできないもんね。
でもね、正直な話「夢や可能性」って言われたからって、
勉強に対する姿勢は変わりましたか?
「さぁ、勉強しよう!」と思って、積極的に勉強するようになりましたか?
フツー、なりませんよね。少なくとも、私はなりませんね。
では、なぜ「夢や希望」という言葉では「勉強する気にならない」のかというと、
「可能性を広げるため」というのは、
「なんで勉強せなアカンの」に対する“解答になっていない”からです。
「可能性を広げる」というのは『勉強した結果』そうなるのであって、
決して『勉強をしなければならない』ことの“動機付けになっていない”んです。
だから、『可能性なんて広がらなくてもいい』
→『勉強なんかしなくても、生きていける』という
反論に繋がってしまうワケなんです。
さて、ここからが本題です。
では、「なんで勉強せなアカンの」に対する、
私の答えは、というと・・・
『勉強』と一括りにせず、それぞれの教科を
「なんで勉強せなアカンのか」考えてみてください。
「なぜ国語を勉強するのか」
「なぜ社会を勉強するのか」
「なぜ数学を勉強するのか」
「なぜ理科を勉強するのか」
「なぜ英語を勉強するのか」
「なぜ体育を勉強するのか」
「なぜ音楽を勉強するのか」
「なぜ美術を勉強するのか」
「なぜ技術・家庭を勉強するのか」
これなら具体的に答えられるんじゃないですか。さあ、考えてみてください。
考えてみましたか。
考えてみると、なんとなく「勉強した方がイイ」って思ってきませんか。
そして、いろんな勉強をしたらどうなるかと言うと、
「物事を判断して行動する能力」が生まれるんです。
「なんでそうなるか」というと、
例えば「数学の解法を理解しょう」思って訓練したり、
「英単語を覚えよう」と頑張ってみたり、
「日本史の中世を攻略してみよう」とかいろいろとやっている中で、
スゴい勢いで思考のトレーニングが行われているからなんです。
そして、いつの間にかそれらが、頭の中で有機的に繋がっていくんです。
その結果、「判断する力」が生まれてくるんですね。
ちなみに、大人になって一番大切なことは
「物事を的確に判断し、状況において最も有効に行動すること」なんです。
キチンとそれができる人は成功する。
それが上手くできない人は・・・
結局のところ、『勉強した結果、“可能性が広がる”』のであって、
決して『自分の“可能性を広げるため”に勉強する』んじゃないんですね。
「なーんにもしなくていい生活」って、楽そうですよね。
でも、「なーんにもしなくていい生活」っていうのは、
実は「何もできない」ってことなんです。
「なーんにもできない生活」って、全然面白くないよ。
だから、「勉強なんかせんでも、生きていける!」って言っている人、
そんな人も確かに生きていけるかもしれません。
でも、そんな人生、全然楽しくないよ!
まぁ、こんなことを言っていても、
受験生にとってはスグ目の前にある
「合格通知」がほしいのは間違いない事実だと思います。
だけど、合格通知のためだけに勉強するんじゃないことだけは、
分かっていてほしいと思います。
で、最後に一つだけ。
勉強を楽しんで、
そして合格通知を手に入れるには、どうすればいいか。
その秘訣を伝授します。
それは、「勉強しなさい!」って言われないようにすることです。
だって、イヤでしょ。先生やお父さん・お母さんから「勉強しろ」って怒られるのは。
それだけでヤル気がなくなっちゃうもの。
だから、そう言われないようにしたらいいの。
そのためには、「言われる前に勉強したらいい」んです。
ねっ、簡単なことでしょ。
(大阪国際滝井高等学校 総務部 橋本光央)
【筆者プロフィール】
1989年より、大阪北予備校に勤務。
2007年より、大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』等に作品掲載あり。