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辞めない方法 筆者:羽根田 ひとみ

新入社員が入社して2カ月、少し仕事の内容が分かってきて、イメージと違ったとか、条件が違うとか思い悩む時期がやってきた。
我が家の息子も入社して2カ月、久しぶりに実家に帰ってきた。
学生時代休まなかったのが唯一の自慢だった彼だが、入社して間もなく40度近くの熱が続いたので心配していた。
でも元気そうで安心した。

「社長と会食があって聞いたんだけど、どうやらこっちには帰れないってよ」
実家から通えるところにも営業所があって、そこを彼は期待していたから、がっかりした様子だった。
同時に、私に対する気遣いもあったようだ。
「いいよ、帰って来なくたって」と、軽く答えると、ほっとした様子だった。

そして、先輩や同僚が辞めたいと言い出した話を始めた。
「いろいろとあるよね。どうやったらいいんだべね」と、私が言うと、彼の姉が口を開いた。

「私だって辞めたいと思ったことあるよ。そういうときは、目の前のことだけちゃんとやるんだよ。先のことを考えると、気が変になるから。とにかく、自分のやるべきことをクリアしていくと、見えてくるものが変わっていくから」

全てがうまくいっているように見えていた彼女だっただけに、意外な発言だった。
彼にはどう聞こえたのかはあえて聞いていない。

話は変わるが、私が入社して2年目、初めて後輩を任された。
その後輩は、2、3カ月後、「辞めたい」と周囲に言っていた。
期待しすぎで、厳しい指導をしたようだ。
きめ細かく教えたのだが、相手にしてみればダメ出しにしか聞こえなかったのだろう。
私自身が周りから非難され、こっちが辞めたくなりそうだった。

そのとき助けてくれたのは、その後輩の同期だった。
辞めたいと言っていた後輩に、思い悩んでいた私の話と、楽になれる方法を教えてくれたのだ。
そして、私に対しては、当時の上司がこうアドバイスした。
「続けさせる原動力は本人の成功体験しかない。だから仕掛けが必要。『自分がやった!』と思わせる仕掛けが大事!」

この時期、当時を振り返り、後輩みなの成功を願っている。
そして、どう仕掛けを生み出すか、模索している毎日だ。

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