私はルンバ(「ぼうず通信」より) 更新日: 2017年11月29日
〔風鈴坊主〕
朝の拝島駅に立って1年。
すっかり駅の風景に溶け込んだ感がある。
挨拶を始めた頃は「誰?このオヤジ」という感じだったが、
今は他校の高校生もアイコンタクトで挨拶を返してくれるようになった。
1学期末には風鈴を持って立ってみた。
挨拶をしないで通り過ぎる高校生がいると風鈴を鳴らす。
その音にびっくりする高校生や笑い出す高校生もいる。
とても迷惑なオヤジだ。
風鈴作戦は学校でも成果を上げた。
ルンバが風鈴を持って授業を巡回する。
風鈴の音と共に教室に入ると生徒が
「何だか涼しく感じる」と笑顔で応える。
寝ている生徒がいれば耳元で風鈴を鳴らす。
まわりの生徒はクスクス笑って注目する。
寝ている生徒が驚いて起きる。
するとルンバは風のように教室から去っていく。
度を越せば授業妨害にもなりかねない。
それにしても日本の伝統文化はすばらしい。
風鈴の音が暑苦しさや眠気を爽やかに持ち去ってくれる。
【原典】http://www.akiru-h.metro.tokyo.jp/site/zen/page_0000000_00042.html