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法務教官語録(「ぼうず通信」より)

夏のことになるが、ある少年院の研修会に参加した。
施設見学とともに、法務教官の生の声を聞かせてもらった。
少年院に収監されている少年の半数以上が
高校を中退した生徒である。
そしてこの少年院が一番力を入れていることが
高校卒業の資格を取らせることだ。
どの現場もきれいごとでは済まない現実がある。
それを改めて感じた。
研修会とその後の懇親会で聞いた法務教官の本音を紹介する。

A教官「家や学校という居場所をなくした後に
 生活が崩れていくようです」
B教官「少年たちを立ち直らせるためには、
 生きるための武器(資格)と
 一人ひとりの出番を与えることが大切です」
C教官「少年院を出た少年が再犯して別の少年院に収監された時に
 我々は必ず面会に行くんですけど、
 それが少年も我々も一番つらい時です。
 自分たちの指導が足りなかったのではないかと胸が痛みます」
D教官「我々は制服で仕事をしています。
 制服は厳然とした法律で守られています。
 だから少年たちは我々の言うことを表面上は聞きます。
 その点、学校の先生は大変ですね。
 その先生の人柄で言うことを聞かせないといけないですからね」

制服のない教員の指導力がどこまで及ぶものか。
きれいごとではない現実に答えはない。
ひとりでも多く高校で高校卒業の資格が取れたら、
少年院に入る少年も少なくなるのでは。
そんな思いを新たにした夏だった。

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