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実のなるものを 筆者:羽根田 ひとみ

先日、我が家の玄関に、
焼酎で渋抜きをした柿が置いてあった。
義理の兄からの贈りもの。
実りの秋だ。

私の実家では果物を作っている。
初夏はさくらんぼ、盛夏はプラムに桃、
そして秋には柿。
昔は畑仕事の手伝いが嫌だったが、
季節を感じることができることに今は感謝している。

ふと、生前父が、
「実のなるものがいい。子供たちが喜ぶのがいい」
と、言っていたことを思い出した。
私は子供たちの卒業のときは、
いつも記念樹を植えてきた。
花ばかりだった。
次の春は実のなる記念樹にしようと思った。
子供が遠く離れたところに住むことになっても、
その果物を目にし、口にするたびに、
故郷、家族のことを懐かしく思い出してくれるだろう。

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