実のなるものを 筆者:羽根田 ひとみ 更新日: 2018年8月30日
先日、我が家の玄関に、 
焼酎で渋抜きをした柿が置いてあった。 
義理の兄からの贈りもの。 
実りの秋だ。 
私の実家では果物を作っている。 
初夏はさくらんぼ、盛夏はプラムに桃、 
そして秋には柿。 
昔は畑仕事の手伝いが嫌だったが、 
季節を感じることができることに今は感謝している。 
ふと、生前父が、 
「実のなるものがいい。子供たちが喜ぶのがいい」 
と、言っていたことを思い出した。 
私は子供たちの卒業のときは、 
いつも記念樹を植えてきた。 
花ばかりだった。 
次の春は実のなる記念樹にしようと思った。 
子供が遠く離れたところに住むことになっても、 
その果物を目にし、口にするたびに、 
故郷、家族のことを懐かしく思い出してくれるだろう。




