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「国立大学の類型化」筆者・桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之

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前回(※)は、同じ国立大学と言っても、非常に大きな差があることについて、
小樽商科大学と東京大学を比較して説明した。
(※参照:https://shinronavi.com/news/detail/1965 )
これを文部科学省の政策から見ると、文部科学省は、
86の国立大学を2016年度から3つの類型に分けている。

(1)世界トップ大学と伍して卓越した教育研究を推進する大学(16大学)
   旧七帝国大学、東京工業大学、一橋大学、筑波大学、旧制の医科大学(千葉大学など)
(2)分野ごとの優れた教育研究拠点やネットワークの形成を推進する大学(15大学)
   東京医科歯科大学、電気通信大学など
(3)地域のニーズに応える人材育成・研究を推進する大学(55大学)

この3類型に従って、運営費交付金を重点的に配分するとされた。

その後、さらに、2016年度に指定国立大学という類型が設定された。
これは、「文部科学大臣が世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる
国立大学法人を指定国立大学法人として指定することができる。」
というもので、旧七帝大学の他、筑波大学、東京工業大学、東京医科歯科大学、一橋大学の11大学が指定された。
先の3類型との相違は旧七帝大、筑波、東京工業大学、一橋大学は「世界に伍する大学」で、
これに東京医科歯科大学が加わっていて、ほぼ重複しており、新たな国立大学類型というには新味がない。

さらに、2023年度には、国際卓越研究大学が新しい類型として加わった。
これは年数百億円の補助金を大学ファンドから提供される大学で、2024年度には東北大学1校のみが選定された。

このように、86の国立大学は、政策によっても、さらに様々な類型によって分化が進められ、
国立大学間の格差はますます拡大している。
そして、分化と同時に再編統合の動きが加速していることも見逃すことはできない。
これについては次回で検討したい。

【プロフィール】
東京大学名誉教授、現・桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、
『大学進学の機会』(東京大学出版会)、
『進学格差』(筑摩書房)など著書多数。

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