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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(18)求人票は良識の目でチェック(続)」筆者・小林英明

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前回のコラム(※)で、問題の存在が疑われる求人票を取り上げた。
(※参照:https://shinronavi.com/news/detail/1893 )
その後、この求人票の情報をさらに収集しているときに、全く別の観点があることに気づいた。
当初、10年前の求人票のこともあってかなり懐疑的な目でこの求人票を見ていた。
しかし、この企業が実際に問題ある営業活動をしているかどうか現時点では分からない。
「推定無罪」の言葉もあり、何事にも「思い込み」や「決めつけ」は好ましくない。
そこでこの「仕事の内容」を敢えて好意的な視点で読み直した。
すると、前回とは全く別の課題が見えたのである。

この求人票を提供してくれた先生はもちろん、
その後この求人票を実際に見てもらった先生方も「これはまずいでしょ」という反応をしていた。
私も含め、高校生の就活や消費者問題を意識している教員は、
この求人票を「問題あり」と受け止めたのだ。しかし、もしもこの企業が、
全く問題のない営業活動をしていると仮定したらどうだろうか。
前回も述べたように企業が特定されることは避けたいので詳しく書けないのがもどかしいが、
「問題ある営業手法」と見ていた記載内容が、
「営業職」への理解が不十分な高校生に安心感を与えようとした結果と受け取れなくもない。
あまりにも甘い解釈と言われることは承知の上だが、
SNSから始める客への接触は飛び込み営業や現代の若者が苦手な電話営業ではない、
というアピールかもしれない。
時間をかける接客は「効率よく契約件数を伸ばせ、ノルマ達成だ」という営業姿勢ではなく、
時間をかけた丁寧な接客で商品価値を理解してもらう、という意味だと言うこともできる。
つまり前述の仮定に基づけばこの企業は「仕事の内容」の書き方に失敗したことになる。
さらにこの企業にはそのリカバーのチャンスもなかった。
前回のコラムを書いた後、この求人票は発送代理店を通して高校に届けられたこと、
その業者はDM作成発送専業で大卒高卒等の就職情報を扱っていないらしい、ということがわかった。
そのため求人票のチェックや作成のアドバイスを受けることもできなかったのだ。

近年の人手不足から経験のない高卒採用を始める企業も増えている。
その際、どのように求人票を作成してどのように高校に届けるか、これは非常に難しい課題である。
そして求人側がミスや失敗のない情報発信を心掛ける一方で、
応募者側は情報をさまざまな観点から求人票を詳細に読み取り、より良い判断につなげることが求められる。
教員も含めて求人企業と高校生の間に立つ者には、
双方が結果は別として悔いのない採用活動、就職活動ができるよう努めることが求められている。

【プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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