「今はバブルの再来?」筆者・青木勝美 更新日: 2025年2月21日
高校生のための進路ナビニュース
2024年の各メディアのニュースや新聞記事などを振り返ってみると、
“バブル再来”とか“バブル越え”、“バブル更新”、“バブル崩壊”など、
“バブル”というワードをたびたび目にした。
日本のバブル時代とは、1986年末から1991年2月頃までの期間を指す。
当時は、日本全体の熱量が非常に高く、
経済状況も国民も活気に満ち溢れた好景気の時代であった。
さまざまな社会的問題はあったが、GDP世界1位の大国である米国に肉薄しつつあり、
追い抜ける可能性があると期待が膨らんでいた。
そのころのエピソードを以下に書くことにする。
地元の信用金庫に勤めたOGが職員室に訪ねてきた。
この当時は、ボーナス時期になると金融機関に就職したOBやOGが、
預金獲得に来校することが年中行事になっていた。
そのOGも同様の理由で顔を出したのである。
彼女は、その年の4月から勤め始めたばかりで、
おそらく上司から、挨拶かたがたノルマ達成を助けてもらえと言われていたのか、
とりあえず担任であった私のところにやってきた。
少額であったが定期預金の手続きをした後に、「ボーナスは出たのか」と尋ねると、彼女は「はい」と。
再度「いくら出た」と尋ねると、
「100万円です。でも、すべて強制的に預金させられました」との答えに、
私を含めて、周りの教員も椅子の上でのけ反ってしまった。真偽は確かめようもないが。
地方の金融機関で高卒1年目、
月の給与10数万円(なお、1990年の高卒初任給の平均は13万3千円)の従業員に対して、
大盤振る舞いができた時代であった。これが“バブル”と呼ばれた時代であった。
そもそもバブル経済・景気とは、さまざまな資産価格が実体経済とかけ離れて高騰することである。
実際に、地価が異常なほど高騰し、実際の価値とかけ離れていた。
当然のごとく、まさに泡がはじけるように、金融危機に陥りバブル経済は崩壊したのである。
その後は、ブラックホールのようなデフレスパイラルに陥り、
“失われた30年”と呼ばれる低迷期が続いた。しかし、コロナ禍が落ち着いた一昨年あたりから、
日経平均株価は上昇し始め、今年2月にバブル時代の最高値を33年ぶり更新し史上最高値をつけた。
さらに、新卒者の求人倍率も上昇し、給与の底上げを実施する企業も増えてきた。
平均給与もようやくバブル期を超え460万円ほどになっている。
このような数値からバブル時代の再来と報道されたようである。
しかし、泡と消えてしまうような経済は必要ない。30年の低迷期の苦い経験を踏まえ、
若者たちが、将来に対して期待が持てるような社会づくりを切に願いたい。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う