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「時代は、教育改革から教育変革と改善!?」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文

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「教育改革!」喧伝され過ぎたきらいを感じる。
私は、この言葉で教育が大きく変わるとは、もはや期待できない!
同じ世代の教育関係者の中には、「そうだ」と賛同する方もいるのではないか。
私にとって「教育改革」といえば、
1984(昭和59)年に設置した「臨教審(臨時教育審議会)」と
2000(平成12)年の「教育改革国民会議」である。
前者の背景には、産業構造の変化(知識集約型産業)、国際化・情報化、
子どもの非行、小中のいじめ、登校拒否、校内暴力等があった。
後者の背景には、冷戦構造の崩壊、いじめ、不登校、学級崩壊、凶悪な青少年犯罪の続発、
行き過ぎた平等主義による教育の画一化等があった。

現在、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して、具体的な進め方、教育進化のための改革方針の下、
2022(令和4)年「教育進化のための改革ビジョン」が公表された。
そこでは2つの基本理念と4つの柱が掲げられている。
そして、今後の施策展開の方向性については、
「同一年齢で同一内容を学習することを前提とした教育の在り方にとらわれず……」とある。
「とらわれず」とは、もはや「よりよいものを目指すために改める【改革】」ではなく、
「ものごとを根本から変える【変革】」を容認しているのではないか。
その一方、現在の教育現場は、いじめ、不登校(登校拒否)、情報化(デジタル)など、
複雑化した教育課題を抱えている。しかし、この国では
過去の「教育改革」のキーワードを時代の潮流に合った言葉に衣替えをし、
批判と責任を回避しつつも、課題解決に向けて、「制度や仕組みを改める【改革】」ではなく、
「現場の工夫と努力による【改善】」が積み重ねられていると思うのは私だけだろうか。

【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職

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