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「履歴書は、手書きか? PC(パソコン)か?」筆者・青木勝美

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10月も半ばを過ぎると多くの就職希望者は、企業からの内定通知を手にするころとなる。
半年以上前からの準備と努力が結実したものである。
採用選考本番に向けての準備は、企業研究から始まり、
求人票の見方、履歴書の書き方、面接練習、筆記試験対策等々がある。
そのなかで、生徒が応募直前になり苦しむのが、重要な応募書類である履歴書の清書である。
履歴書は、氏名から志望の動機まで誤字脱字、用紙の汚れや折れがないように慎重に書かねばならない。
何度も書き損じて、書き直さなければならない生徒も少なくなかった。
私は、生徒に対して、
「履歴書は、ゼロ回目の面接であると思いなさい、慎重に細心の注意を払い書きなさい。
1文字でも間違えたら書き直し」と指導していた。
履歴書は、志望する企業への自己アピールができるものだと考えている。

昨今、高校新卒の履歴書の作成について、
ある県では、全面的にPC作成を推奨し、企業への理解促進を図っている。
また、ある県では、企業の求人票に
“手書き限定”、“パソコン限定”、“どちらでもよい”といずれかの記載を求め、
生徒はそれを踏まえた上で応募しているようである。
PCによる履歴書作成のメリットは、
まず、手書きよりもPCのデータ入力に慣れている生徒にとって、
作成時間がかなり短くなると思われる。
また、書き損じた場合(手書きの場合は、修正液や訂正印等による修正は不可)、
修正が簡単にできることから、最初から書き直す必要がなくなる。
次に、複数社に応募する際に、履歴書を企業ごとに作成する必要があるが、
データが保存してあるので、簡単に応募先にあわせて修正ができる。
さらに、履歴書の作成時間が短縮できるため、
企業や職業研究、応募先の検討や就職活動(職場見学等)の時間が確保でき、
早期離職(ミスマッチ)の防止の一助になると考えられる。
加えて、生徒のストレス軽減と担当教員の指導時間の短縮は確実にできると思われる。

対して、手書きは、生徒にとって一つの試練であったが、
志望した企業にぜひ入社したいとの気持ちが込められているように思った。
それぞれの生徒が書く文字に個性はあるが、以前、採用担当の方からは、
「面接をする前に本気度や人物像が伝わってくる」と聞いたことがある。
確かに生徒が、真面目に真剣に取り組み、書き上げたものは美しいものである。

いずれにしろ、デジタル化が進展するなか、現場の労力軽減や効率を重視すれば、
早晩、高校新卒者の履歴書はPC作成が一般的になってくるであろう。
私のような、手書き世代の古い者には、一抹の寂しさはあるが。

【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う

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