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「教師の勢力資源―『正当性』と『罰・強制性』」筆者・苅間澤勇人

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私が住んでいる東北では、秋の気配が感じられるようになりました。
収穫期を迎え、猛暑の影響が出てきています。
多くの水田では稲が倒れてしまい、品質の低下が懸念されています。
今年は夜の気温が高く、稲の背丈が例年より約30センチ長くなったため、
茎が折れてしまったようです。
お米不足が心配される中、さらに懸念される状況となっています。

さて、前回(※)からお伝えしている勢力資源についてです。
(※参照:https://shinronavi.com/news/detail/1896 )
私が高校生だった1980年頃、当時は先生の言うことに従うのが当然とされていました。
教師の指導に反抗することは少なく、親や地域社会でも「先生が正しい」とされ、
「先生の言うとおりにしないお前が悪い」と言われました。
つまり、教師には指導者の役割や社会的地位があり、
それに基づく「正当性」が勢力資源として機能していました。
しかし、今日では教師の社会的地位は相対的に低下しており、
その結果「正当性」の勢力資源も弱くなっていると感じます。
「正当性」と「罰・強制性」には関連があります。

私が高校生のころ、教師が怒鳴ったり、生徒を正座させたり、
ひどい場合には張り手などの体罰が行われることもありました。
そうした厳しい指導があったので、それを避けるために教師の指示どおりにしたり、
教師の評価を恐れて、渋々でも指導に従ったりしました。
このように教師の指示に従わざるを得ない状況がありました。
しかし今では、「罰・強制性」による指導は不適切とされ、
ハラスメントに敏感な社会になっています。
「罰・強制性」は、子どもが小さいころには効果がありますが、
子どもの成長とともにその効果は低下します。
特に高校生になると、その効果がさらに弱まる傾向があります。
高校生は教師の人間的な魅力に惹かれるものです。
教師の役割の重要性を認めてもらい、社会的地位を向上させるためには、
教師自身が人間的な魅力を磨くことが求められていると言えるでしょう。

さて、今年の新米を早速いただきました。甘みがあってとても美味しかったです。
収穫が減る可能性もあるので、一粒一粒大切にいただきたいと思います。

引用文献
河村茂雄『教師のためのソーシャル・スキル―子どもとの人間関係を深める技術』
(2002、誠信書房)

【プロフィール】
会津大学文化研究センター 教授 兼 学生部長
2015年から現職
専門領域は「教育学」「教育カウンセリング心理学」
研究テーマは教育困難校での支援

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