「旬」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文 更新日: 2024年8月31日
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旬とは、魚介類や蔬菜(そさい)・果物などの最も味のよい出盛りの時期をいう。
食材が出始める時期を「はしり」、最も食べごろになる時期を「さかり」、
旬の終わりを迎える時期を「なごり」という。
旬を知らない子どもたちが増えているそうだ。学生や若者もしかり。
たしかにスーパーに買い物に出かけると、季節や旬に関わらず、
ほとんどの食材が一年を通して並べられており、旬がわかりづらくなっている。
トマト、トウモロコシ、とうがん、鱧、スイカ、茄子は、夏の旬の食材であるが、
四季を問わず、今ではさほど珍しくもなく、当たり前のように見かける。
さて、先日友人と登山をした。14歳の時、ともに飯豊山に登った仲で、
そのときの良き思い出から軽く『いいよ』と返事をした。
しかし、いざ登ってみると遭難するのではというほどの、疲労と足の痛みを覚え、
よくぞ自力で下山できたと落ち込んでしまった。
1,500m以上は無理、私にとっての登山の旬は終わったと、そのときは判断した。
しかし、2か月後、また登山の誘いを受けた。誘われることは、嬉しい。
『今度は、余裕で下山してやろう』と気持ちが前向きになった。
『よし! 登山をしよう』と決断し、登山を安全に楽しむための「学び・工夫と努力」、
言い換えれば、「創造と実行」を続けているときが、
「人生の旬(今が最高の時)」なのではなかろうか。
今を旬の「はしり」としよう。
「さかり」は1,500m級の山を迷惑かけずに下山したときとしよう。
「なごり」は、10年先にしよう。
そして、教職課程専門科目「職業指導」のキャリアデザイン分野で登山の経験を活用しよう。
【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職