「三者面談は、暴言を吐いてはいけないのですか」筆者・青木勝美 更新日: 2024年7月26日
高校生のための進路ナビニュース
今年3月まで放送されていたTVドラマ。
1986年(昭和61年)の中学校の教師が現代の令和6年にタイムスリップし騒動を起こす、
奇想天外、摩訶不思議、昭和の風俗をコメディタッチで描いた話題のドラマである。
このドラマで昭和の進路相談(三者面談)のシーンがあった。
担任教師が「お前の偏差値で入れる大学なんてこの世にないって」という台詞でスタート。
一方の生徒(中学教師の娘)は、有名タレントと同じ大学に入学したいとの願望を口に出す。
「A大学!? 幼稚園だって無理だよ、お前の頭じゃ ××か!」(××部分は禁止用語)
と“暴言”で応答。それでも生徒は、進学に対するあまり真っ当でない理由を言い返す。
はたまた担任が暴言。保護者の代わりに同席していた“令和”の社会学者が、
「それ本気で、言っています?」と疑問を投げかけ参戦。
三者によるバトルの場となってしまった。
かなり誇張された場面であるが、私自身、高校時代に
「こんな偏差値で進学したいとは……。」と担任から、かなり厳しく親の前で言われた経験がある。
一時気分は急降下したが、「見返してやるぞ」との気持ちも湧き上がった。
同級生も同様のようであり、面談が終わると教室の雰囲気が変わったような気がした。
後に、奮起を促す言葉であったと気付くのだが(今ならパワハラとなるのかな)。
令和では通用しないが、昭和の古き良き時代だったのかもしれない。
夏休み間近は、三者面談の時期ではないだろうか。
3年生は卒業後、どのような方向に進むのか保護者を交えて、意思表示をしなければならない。
なかなか数か月先の自分自身が想像できず、方向性が定まらず、意思決定に生徒も保護者も悩む時期である。
三者面談の折には、就職なのか進学なのかの方向性が決まっていれば良いのだが、
親子の意見が噛み合わず進路室に相談に来られる保護者もいる。
現在の担任の先生方は、上記のTVドラマのような暴言は吐かず、
保護者には、丁寧に進路の進め方や方針を説明しているはずである。
また、生徒本人には、希望する進路に沿うように、
今後の予定と行動について指示しているものと思う。しかし、問題が発生してしまうことがある。
数十年前と比較し進路先の選択肢が増えたことと、
家庭の経済事情の変化から、進路変更の申し出のケースがある。
それでも、暴言を吐くことなく、再度、生徒と保護者に向き合い、
三者面談をして進路先の確認をしなければならない。
本当に進路指導は、気力・体力・我慢強さが必要である。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月よりライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う