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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(15)言うか言わぬか、面接の迷いどころ」筆者・小林英明

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ある高校の先生から質問された。
「生徒は就職試験の面接時にアルバイト経験を話しても印象が悪くならないでしょうか」
生徒からもしばしば受けた質問だ。
「アルバイト経験」が「2年生でやめた部活」や「中型自動二輪免許」などに
置き換わっていることもあった。
その先生も元はと言えば生徒から質問されたらしい。
これはイエスかノーでは答えられない。それどころか「正解」も存在しない。
個々の生徒に応じた「最適解」を見つけるしかないだろう。

それではこの「最適解」を導き出す際の手がかりは何か。
かつての私は、その話題が自分にとって有利に働くか、よい評価につながるか、
そこを考えて判断しよう、と答えることが多かった。
しかし、面接選考をする企業の方から体験談を伺ったり、
私自身が高校入試で面接を担当したりするうちに「面接指導」は、
「好印象で評価を上げる回答づくり」、「高得点を得る回答づくり」
を目的としていてよいのか、と考えるようになった。
高評価ばかり目ざしていては面接官に本当の生徒の姿を見てもらうための
何か大切なものが隠されてしまうように感じたのだ。
残念ながら面接スキル向上のチャンスが不足しがちな高校教員をしていると、
「よい印象の回答」を「高評価」に直結させて考えがちである。
また、予算不足等であまり更新されない進路指導室の書架には、
「このような答えがよい」とか「高評価につながる答えは……」
などの記述のある「面接本」が残っていたりする。
そのため生徒は「よい印象を持ってもらえる回答」や「自分をよく見せる回答」を
考えようとして「言うか言わないか」で迷うのである。

何とかして早く内定を得たいと思っている高校生にとっては難しいかもしれないが、
自分をよく見せること、印象をよくすることばかりを考えてはいけない。
自分を実際以上に素晴らしく、優れているよう見せたり、
相手に気に入られそうな回答をしたりして「自分をよく見せる」ではなく、
自分をじっくりと誤解なく見てもらう、自分の特性や能力を正しく理解、評価してもらう、
つまり「よいところを見せる、十分に見てもらう」が大切なのだ。

近年、各企業や自治体の採用担当者は面接スキル向上に努め、
採用面接は印象に頼る面接から本人の能力や特性を見極め、
客観的に評価する面接へと進化している。
服装、マナーや言葉遣い等の「印象」は、
「中身」を正しく評価してもらうためにはおろそかにできないが、
「印象アップの回答で内定を」はもう通用しなくなる。
支援する私達も高校生が自己の特性、能力をいかに十分に正確に伝えられるか、
を考えた面接指導を心がけたいと思う。

【プロフィール】
元都立高校進路指導主任・
多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与/
キャリア教育支援協議会 顧問
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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