「『5月病』を退治せよ」筆者・青木勝美 更新日: 2024年5月31日
高校生のための進路ナビニュース
群馬県では、5月10日から13日まで、高校総体が開催された。
運動部の生徒は、GW中にもかかわらず厳しい練習に励んだことだろう。
ところで、今年のGW中に「5月病」(新型コロナの影響なのか、最近、聞いていなかった)
というワードがたびたび報道されていた。
TVで専門医曰く、「今年のGWは、3日と4日に分かれているので、
4月にたまった体や心のストレスや自律神経の乱れが3連休では十分に解消されず、
はざまの(平日)3日間でまた疲れがたまる。
(後半の)4連休が明けるとさらに、その後、長い業務・労務・学業などが待っているので、
2段階で体へのダメージがたまってしまうために、より強い5月病の症状が出る可能性がある」
と“2段階5月病”に警鐘を鳴らしていた。
そもそも5月病とは、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称であり、
会社に出社できない、学校に登校できない等の体調不良の状況が続くことである。
新生活から約1か月のこの時期に発症する人が多いことから、このような呼称になったといわれている。
しかし、1年を通して誰もが同様に発症する可能性があることから“通年病”であるともいわれている。
さて、私が関係していた学校現場でも、旧来よりこの“病気”は教員たちを悩ませている。
最近は、新入生が入学当初からこの5月にかけての発症者が多いと聞いている。
さらには長期休業明けの9月に学年を跨いで多くなる。
要因、きっかけは生徒個々に違うと思われるので、問題解決の糸口はなかなかつかめない。
ただの“怠け”では説明できない問題もはらんでおり、
保護者との対話を頻繁にしながら、慎重に指導をすすめなければならない。
主に学級担任と教育相談担当者が任に当たるのだが、大変な時間と労力、根気が必要となる。
私は、学校に足を向けなくなった生徒と話をしたことがある。
生徒とは面識はなく、直接の担当者でないことからか、生徒は身構えず話をしてくれた。
生徒曰く、「自分の将来、未来をイメージすることができない。
自分のやりたいことに保護者が理解をしてくれない。
欠席が続き、学習についていけないので、留年することになるのが不安である」。
この日を最後に生徒は学校を去ってしまった。
この生徒との対話により、進路指導の役割として、
生徒たちの将来設計に“夢と希望”を持たせることの重要性を再認識させてもらった。
私は、各地の学校を回って進路講演をさせていただき、
生徒諸君の将来・未来が明るくなるような話をしようと努力している。
しかし、毎回反省、まだまだ修業が足らないようである。
5月病の報道を聞きながら、少しでもこの“病気”が退治できるような貢献ができたらと、
意を新たにした連休であった。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月より(株)ライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う