「学級づくりを軌道にのせる」筆者・会津大学文化研究センター 教授 苅間澤勇人 更新日: 2024年5月24日
高校生のための進路ナビニュース
あっという間にGWが終わり、新緑のまぶしい季節となりました。
この季節になると、気持ちも明るくなり、学級づくりでもつぎの一歩を踏み出したくなります。
さて、4月の学級集団づくりは順調に進んだでしょうか。
ポイントは少し強めのリーダーシップ(「教示的リーダーシップ」)で、
生徒に行動の仕方を示して、実際に行動させることでした。
それがうまくできた学級では、生徒たちに学校生活をうまく過ごすために必要な行動が定着して、
学級に明るい雰囲気があり、生徒間の関係性が良くなったのではないかと思います。
では、5月に留意するポイントは何でしょうか。
それは「説得的なリーダーシップ」で生徒に行動の意味を伝えることです。
「説得的なリーダーシップ」とは、
なぜそのような行動が必要なのかという行動の意味を説明することです。
それによって、やらせられる行動ではなく、
自分も納得して行動することで、よりスムーズな行動の形成と維持につながります。
つまり、学級担任には、4月と同じリーダーシップを続けるのではなく、
生徒の状況に対応したリーダーシップに変えることが求められるのです。
一方、GW明けに、いわゆる“学級崩壊”の状況になった学級があるかもしれません。
その学級では、学級担任が生徒の自主性を大事にするという名目で、
自由を許してしまったのではないでしょうか。
自主性を大事にするというと聞こえはいいのですが、“自由は不自由”とも言います。
最初は方向性が示されて、その方向に背中を押してもらえるほうが歩みやすいのです。
それがないと、どちらに向かうかがわからず、一歩が踏み出せないのです。
そうなると不安が高い状態となり、意欲が減退するのです。
そして、ネガティブであっても刺激を求める心理になります。
それが不適切な行動となり、学級内に安全・安心が確保されなくなります。
さらに、そういう状態が続くと、学級が集団として機能しない学級崩壊が起こるのです。
行動様式が整っていない学級で適切な行動を定着させるのは、5月中旬がぎりぎりの期限です。
スタートに戻って、教示的なリーダーシップで学級づくりをやり直すことが必要です。
木々の間からもれるキラキラとした輝きのような生徒の笑顔が見られる学級にしたいと思います。
【プロフィール】
2015年から現職
専門領域は「教育学」「教育カウンセリング心理学」
研究テーマは教育困難校での支援