「『8(はち)がけ社会』の恐怖(後編)」筆者・青木勝美 更新日: 2024年5月11日
高校生のための進路ナビニュース
(前編:https://shinronavi.com/news/detail/1815 )
16年後の2040年に高齢化の割合がピークに達し、現在の生産年齢人口(15歳~64歳)が
およそ2割減少し、働き手不足はますます深刻になると予測されている。
厚生労働省は、2023年の出生数が前年比5.1%減の75万8,631人だったと発表した。
8年連続で減少し、過去最少となった。人口の減少幅は初めて80万人を超え、
国力に多大な影響を及ぼすとの報道があった。
日本の総人口が1億人を切るのも、近未来となるかもしれない。
この事態に備えてIT化が加速され、AIやロボットの開発・導入が徐々に進んでいる。
コールセンターやカスタマーサポートの人手不足を補うチャットボットがそのひとつ。
消費者はWebサイトやスマホアプリなどから24時間いつでも問い合わせが可能である。
また、一部の商業施設での巡回警備ロボットや飲食店での
配膳ロボット・タッチパネルシステムの導入、
電子マネー決済による無人販売所、セルフレジなど。
また、教育界においてもオンライン授業やeラーニングが一般化されつつある。
さらに、生産現場においてもデータ分析とリアルタイムの診断ができる
ソフトウェアの開発により、人が気づけない傾向を発見し、コスト削減や技術継承、
生産性向上、品質改善、品質ロスの低減などを実現している。
公共交通機関の自動運転も実験段階であるが、近い将来実現することであろう。
働き手不足解消の省人化の取り組みは、各業種で進んでいる。
しかし、こまやかなサービスや臨機応変な判断、柔軟な対応には、マンパワーが必要である。
特に介護や医療関係には、それらが必要であるが、現在において深刻な働き手不足の状態にある。
今後も介護や医療の担い手が絶対的に不足するといわれている。
いずれにせよ、多くの職種で働き手不足は、喫緊の課題である。
8がけ社会の負の側面が大きく広がる未来が迫ってきている。
現高校生は、16年後の社会において「若手」から「中堅」に移行する時期である。
リーダーとして頭角をあらわす年齢となる。
これからの10年間は、より新しい技術の革新により、変化の激しい時代になると思われる。
変化に「柔軟に対応できる力」や「一歩踏み出す力」を意識させるような教育ができれば、
8がけ社会を乗り越える方策を見つけ出せるかもしれない。
持続可能な社会は、年齢、性別を問わず全ての人々が働きやすく、
生きやすい社会を作ることである。
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月より(株)ライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う