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「平成12年度7.60倍、24年後1.08倍」筆者・日本大学商学部 准教授 玉川弘文

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「24年が経つとこんなもんか?」
3月、都立高校の入学者選抜第三次募集が終了した。
平成10年、東京都のチャレンジスクール、いわゆる不登校や中途退学者の学校づくりに赴任した。
「自分にチャレンジする高等学校」として、
小、中学校段階で不登校を経験した生徒や高等学校を中途退学した生徒等、
これまでの教育の中では自己の能力や適性を十分に発揮できなかった多様な生徒を想定した。
そして、学校生活をとおして自己の夢や目標を見つけ、
その実現にチャレンジし、教育活動の中で感動し学び成長する学校を教育理念とした。

開校した平成12年度の前期応募倍率7.60倍、後期応募倍率17.81倍と極めて高い倍率。
10年後には前期が2.23倍、後期は4.04倍。その間、5つのチャレンジスクールが開校、
チャレンジスクール全体としての定員が増えたことから、高倍率が期待できないことは推測できる。
そして、入学者選抜が第1次募集・第2次募集となり、令和6年度は1.08倍である。
全国の小・中学校における不登校数は、
平成12年には134,286人だったが、令和4年には299,048人と過去最多となった。
全日制・定時制高校が減る中、通信制高校は、平成12年度公立69校・私立44校計113校が、
令和4年度は公立78校・私立196校計274校と、大きく増加している。
通信制高校が不登校経験者の受け皿となっていることが考えられる。

さて、チャレンジスクールの倍率が下がる背景にはさまざまな原因があるだろう。
すぐに思いつくことは、「北地区チャレンジスクール基本計画検討委員会報告書」の
学校の教育活動を決める「教育課程編成の基本方針」が、
生徒・保護者・都民ニーズから乖離したのではないか、ということである。
24年前、「学校が生徒に合わせる」ためにつくられたチャレンジスクールが
「生徒が学校に合わせる」学校に戻っている? 検証してみたいものだ。

【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職

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