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「新年度始まる~2024年度問題に思うこと~」筆者・小林英明

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2024年度がスタートした。
今年の春は、長期予報に反して、ここ数年で一番遅い春の訪れとなった。
学校では、春休みを終えた生徒が戻り、新入生を迎え入れ、
桜が満開の中での新たな学年・学期の始まりである。

この4月以降、運送・物流業界、建設業、医療業界に対して、
「働き方改革関連法」による時間外労働時間の上限規制が適用される。
これを「2024年問題」と称されている。
働き手にとっては、長時間の労働から解放され、
ライフ・ワーク・バランスが考慮された当然な処置である。しかし、
どの業種も私たちの生活に直結するものであり、将来深刻な影響がでるといわれている。
特に、運送・物流業界がかなり厳しいと報道・指摘されている。
運送業界は、以前よりドライバー不足、高齢化が叫ばれていた。
このままでは2030年には、現在の30%以上の運送能力不足となり、
物流に大きな支障がでると予測されている。

5年ほど前に、進路指導部に運輸・運送関係の方が訪ねて来られ、
この業界の危機的な諸問題について説明を受けた。
従来の長時間労働を解消するために、合理的な働き方を推し進めている。
若い力を早急に必要としている。
希望者がいるならば、安心できる職場であると伝えてほしいとの要望があった。

昨年、ある高校の進路ガイダンスでのこと。就職相談コーナーを受け持たせてもらった。
1回あたり30分、個人面談形式、これを3回繰り返す。
それぞれの回が、予定していた人数を上回っていたため、
一人あたりの相談時間が数分となってしまったが、
生徒諸子の悩みや、疑問に思っていることを聞くことができた。
その中で、ある女子生徒から、
「大型トラックのドライバーになりたいと思っているのですが、
大型免許を取らなければ就職できないのですか。荷物の出し入れには力が必要ですか。
私には無理と言われて(保護者からか)しまったのですが」との相談があった。
アドバイスとして、大型免許がなくとも正社員として就職できる会社はたくさんある。
就職後、その会社が大型免許の取得のために費用負担や勤務時間を配慮してくれる。
さらに、免許取得後も、1年程度先輩ドライバーから安全運転の指導を受けることになる。
大きな荷物の出し入れは、今は機械化やロボット化が進み、
強靭な腕力が無くともできるようになっていると思うと説明した。
この生徒がどのような進路選択をしたのかは、知る由もないのだが。

今後、若者の減少により働き手不足は、どの業界でも深刻な問題となる。
AI等の導入により合理的な時間短縮の働き方の模索は始まっていると思う。
その取り組み内容を、これから進路決定する生徒たちに発信できる方法はないものだろうか。
生徒たちは、その情報を何よりも欲している。

【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月より(株)ライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う

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