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「絶対音感」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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将棋の藤井八冠が中学生の頃に
「授業の内容を理解しているのに、なぜ宿題をしないといけないのですか」
と質問した話( https://shinronavi.com/news/detail/1034 )を、以前紹介しました。
その時は、その理由に納得したことが素晴らしいと記したのですが、今回は違う視点からの話です。

最近、ギフテッドという言葉を耳にすることが多くなりました。
Giftedとは、一般的に
「一つ以上の分野で、同年齢の子どもと比べ、顕著に高い能力をもつ子ども」
とされています。まさに、藤井八冠ですね。
そこで、私なりに彼らの考えを想像してみました。
おそらく、「覚えることは当たり前」もしくは「それ以前の問題」なのでしょう。
だから、「知っていることを宿題でやるのは時間の無駄」と思ってしまうのです。
その時間を、もっとクリエイティブに使いたいんだと。
ただ、多くの(というより、ほとんどの)生徒は、そんなことはできません。
彼らにとって大切なのは、まず「覚えること」なのです。

ところが、世の中には暗記しなくても成績が上がるんだ、
というようなことをうたう安易な教育本があふれています。
でも、これは「ギフテッドだからこそできる思考法であり、勉強法」なのです。
例えば、絶対音感を持っている人なら、どんな音でもドレミファソラシドが分かります。
でも、絶対音感を持たない人がそれを習得するのは至難の業、それと同じことなのです。
大半の子どもにとって(大人にとっても)、暗記には大変な努力が必要です。
そこへ向けて「暗記しなくてもいい」なんて楽な道を示されると、
安易にそちらに流れてしまうことでしょう。
ただ、それが「これからの勉強の潮流」となることに、私は恐怖すら感じます。
やはり、ほとんどの生徒には「暗記&基礎固め」が大切なのです。
ギフテッドにしか通用しない勉強法などに惑わされてはダメなんです。
一歩一歩階段を登るように確実に力をつけ、次のステージに上がったとき、
そこからギフテッドに負けない勉強をすればいいのです。

さて、あなたは絶対音感を持っていますか。
持っていなくても大丈夫。絶対音感を持たない人でも、
努力で素晴らしい音楽が作れますし、誰だって音楽を楽しめますから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
h光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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