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「負けるが勝ち」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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「阪神・柏戸・目玉焼き」ってご存知ですか。
これは高度成長時代に、強くて人気のあるものの代名詞として流行した、
「巨人・大鵬・卵焼き」に対して、大阪で使われていた言葉です。
9連覇のジャイアンツに対して言わずもがなのタイガース、
柏鵬時代の一角を担っていたにもかかわらず、
優勝回数で大鵬に大きく差をつけられてしまった柏戸、
目玉焼きもいいんだけれどもやっぱり卵焼きかな。
でも、この言葉には「決して一番ではないけれど、それでも精一杯頑張って諦めない」
という気持ちがこもっているような気がします。
負けていいと思っているわけではなく、誰もが「勝ちたい」と頑張っているのです。

でも、負けない人なんていません。
高校野球だって3500近い参加校の中で一度も負けないチームは1校だけですし、
優勝校ですら連覇し続けることなんてありえません。
中には「オレは負けない」なんて思いあがっている人がいるかもしれませんが、
どんな人でも勝ち続けることはありません。
そして、そんな人が負けたときには、立ち直れないほどに落ち込んでしまったり、逆ギレしたりします。
まるで「勝っているときは機嫌がいいのに、ゲームに負けると泣き出してしまう子ども」みたいに。
大切なのは、負けた時にどうするかです。失敗した経験を、どう活かすかなのです。

近年、失敗経験のない子どもが増えているようです。
というのも、勉強でも何でも「できることしか、させてもらえない」、
もしくは「簡単にできる方法を教えられる」からです。
言われたことをしていれば、失敗することはありませんから。
でも、本当に大切なのは「負けを乗り越えられる力をつけること」です。
だから、思い通りにいかない経験、失敗する経験、負ける経験をしておかなければならないのです。
そのためには、それを乗り越える強さを身に付ける教育が大切になってくるのです。

昔から『負けるが勝ち』と言いますが、これは決して負け惜しみではありません。
目先の勝ちを譲ったとしても、それによって、
「将来的には自分が勝者になる、その算段ができている」、
そんな先見力に富んでいることを「勝ち」と言っているのです。
心に刻みたい言葉だと思います。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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