「『8(はち)がけ社会』の恐怖(前編)」筆者・青木勝美 更新日: 2024年3月26日
高校生のための進路ナビニュース
“むかしむかし、あるまちにギョーさん子供がおったそうナ。
まちの大人たちは昼間働きに出てしまうから、小さい子供はちょっと大きい子供がめんどう見て、
ちょっと大きい子供はもっと大きい子供がめんどう見ておった。
子供たちは学校から帰ると、大きなこどもが子供たちを引きつれて、
川や野山に遊びに連れて行ったり、宿題を見てやったり、いろんな話をしてやったとサ。
ときには、けんかもしたが、大人たちは
「子供のけんかだ、そのうち仲がもどるだろう」と、遠くから見守っていたそうナ。
そんな子供たちも、だんだんと大人になって、社会人となり、
時間も忘れ、日にちも忘れ、会社のために社会のためにといっしょうけんめい働いたそうナ。
気が付くと給料はちっとしか上がっておらんし、競争社会に疲れ、人間関係に疲れ切り、
結婚も子供を産み育てることもあきらめてしまったとサ。 おしまい”
(しょうわの子供たち 作 青木 )
2040年、日本の高齢化が35パーセントに迫り、
生産年齢人口(15歳~64歳)は、現在の2割近くの1200万人減少。
1100万人の労働力不足になると、リクルートワークス研究所の報告書「未来予測2040」で推計している。
働き手は地方から消え、生活維持サービスさえ成り立たなくさせる。
人手不足を伝える連日のニュースは不安をかき立てるが、それはほんの入り口に過ぎない。
(朝日新聞2024年1月1日の記事から抜粋)
私が住む群馬県に「上毛かるた」なるものがあり、「力合わせる二百万」という読み札がある。
つまり、県の総人口は200万人に達していたということであるが、
昨今の人口減により「二百万」が「百九十万」に変更になる。
30年ぶりの変更であるが、今後は数年ごとにこの数字を変更する必要があるのではないかと危惧している。
地元の高校を卒業し、県外に進学した生徒の大半は、県内に戻ることはない。
就職希望者は県内志向が強いが、年々減少している。
まさに、若い力が削がれ「働き手は地方から消えていく」状態である。
働き手不足によって、これからの16年間に待ち構える現実は、
今の「当たり前」が通用しなくなる時代となるのではないかと恐怖を感じる。
<次回へ続く>
【プロフィール】
1983年4月より群馬県公立高校教員として勤務
学科主任、学年主任、保健主事、進路指導主事等歴任
2019年、平成30年度 専門高校就職指導研究協議会全国発表
2022年3月、群馬県公立高校教員完全定年(再雇用含む)
2022年4月より(株)ライセンスアカデミー東日本教育事業部顧問として、
おもに就職関係の進路講演、面接指導等を各学校で行う