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「高さでも、スピードでもなく」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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令和5年度、我が校のバレー部員たちは、中学はJOCジュニアオリンピックカップで優勝、
高校はインターハイ・春高ともにベスト16に輝きました。
応援くださった皆さま、ありがとうございます。

ところで、バレーボールと言えば、
「高さとスピード、そしてパワー」だと思っている方が多いのではないでしょうか。
確かに、力強いアタックを決めると格好いいです。
でも、チームに一人そんな選手がいたところで、それだけでは勝つことはできません。
なぜなら、そんな人の動きなんて、すぐに読まれて、対応されてしまうからです。
そんなことから、現代におけるバレーボールの潮流は、
「高さでもスピードでもパワーでもなく、状況判断だ」と言われるようになりました。
力任せのワンマンチームではなく、
状況判断力に富んだ選手を擁するチームが「強いチーム」となったのです。

例えば、
〇相手のアタックをブロックするために跳び上がった。
 そのとき、相手が「ワンタッチを狙っている」のを察すると、ボールに当たらないように手を引く。
〇相手のエースが後衛のとき、バックアタックを狙って一歩後ろに下がった。
 そんな時には、その選手の前にフェイントを落とす。
〇時間差攻撃とは、クイックで打つタイミングでジャンプする人と
 通常アタック(オープン攻撃)のためにジャンプする人がいて、
 クイックと思わせて相手のブロッカーを引き寄せた後に、もう一人がアタックする攻撃。
 そのため、時間差攻撃を決めるには、
 事前にクイック攻撃のイメージを相手に植え付けておくことが大切。
など、我武者羅にスパイクを打つだけではなく、
「相手の動きを予想して攻撃できる」「自分の攻撃を成功させるため、布石を打っておく」、
瞬時のうちに、そんな状況判断ができる選手が求められているのです。
そして、この状況判断力はスポーツに限ったことではありません。
仕事や社会生活の中においても、状況判断ができる人とできない人で差が出てしまいます。

超一流の高さやスピードは、才能に恵まれた一部の選手に限られたものかもしれません。
でも、自分にとっての最高を引き出すために努力をすることは誰もができることです。
バレーボールなどのスポーツでは、そのために全力を尽くして練習しているのです。
そんなことは当たり前で、
それに加えて「判断力を高めること」が恵まれた才能よりも重要だということなのです。

学校において、生徒たち一人ひとりの最高を引き出すために
「勉強が大切」であることに間違いはありません。
しかし、「正しい状況判断を行った上で実行する力を身に付ける」ためには、
通常の学習に加えて、新学習指導要領で謳われている、
「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性など」
という3つの力を身に付けることが大切なのです。
なぜなら、これらは社会で本当に活躍するための
「生きる力」を伸ばすことにつながっているのですから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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