「なりたい仕事」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央 更新日: 2024年2月27日
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10数年前には一般的でなかったもの、例えばスマートフォン、
YouTubeやX(旧:Twitter)、ネットショッピングに電子マネー、ドローン等々が、
今では当たり前のものとなっています。
そして、それに伴った仕事が生まれているので、
この10年間は新しい仕事の黎明期だったと言えるでしょう。
ところで、学校では生徒たちに
「将来の自分、なりたい仕事を考えなさい」と指導することがあります。
でも、私はこの指導に疑問をもっています。
というのも、一つ例を挙げるなら「小学生のなりたい仕事ランキング」です。
この種のランキングでは、毎年のようにスポーツ選手や医師、ケーキ屋さん等の職業が上位を占めます。
なぜなら「知っている仕事しか選べない」からです。
世の中には知らない仕事がいっぱいあるのに、
小学生は知らない仕事のことなんて考えられないでしょう。
日本で初めて電灯が灯ったのも、汽車が走ったのも明治時代です。
そんな文明開化の激変の時代に、
どんな仕事が生まれてくるかなんて想像すらできなかったことでしょう。
そんな中で人々は新しい仕事を生み出しました。
どうしてそんなことができたかと言うと、
それは「何が流行するかな」「どんな物が売れるかな」「何ができるかな」
と考える力があったからだと思います。
ちなみに、明治5年(1872年)に学制が公布され、
明治19年(1886年)に「小学校令」が出されて義務教育が行われるようになりました。
そして、人々は貪欲に欧米の知識を吸収し、考える力、発想する力を手に入れました。
そんな充実した教育がなされた結果、新たな仕事が生まれ、日本は発展していったに違いありません。
同様に、新しい仕事の黎明期を経て、成長期・発展期を迎える今後は、
今なら想像すらできないような仕事が生まれることでしょう。
だからこそ、10年後、20年後に新しく「〇〇」という仕事を生み出す、
もしくは生まれてきた「〇〇」を仕事にするための力をつけておかなければならないのです。
そのためには、今の知識で満足していてはいけません。
つまり、大切なのは「さまざまな知識を貪欲に吸収すること」、
そして「それらの知識を化学反応させて新たなものを生み出す発想力」を身に付けることです。
その実現のために大切なのは、明治時代に負けない令和の教育だと考えます。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』