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「責任感が強い人とは」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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責任と義務、どちらも「しなくては、ならないこと」なので似ているように思います。
では、その違いは何でしょう。
調べてみたところ『権利が義務と対になる概念』であるのに対して、
『責任は義務を含むことがある』とありました。
分かるような、分からない説明です。
そこで、改めて「権利」を調べてみると、
「一定の利益を守ろうとする意思が法によって承認され、
国家機関による保障を与えられているもの」とありました。
これも難しいので、思い切って一言で言うと「やっていいこと」でしょう。
となれば、これと対になる義務は「やらねばならないこと」です。
そして、「責任は義務(=やらねばならないこと)を含むことがある」を言い換えると、
「時には、やらなくてもいい」という意味になります。
そう、責任とは『しなくてもいい』ということだったのです。
ここで、改めて「責任感」を調べてみました。
すると「責任を重んじ、それを果たそうとする気持ち」とありました。
つまり、責任感が強い人というのは、
「責任(=しなくてもいいこと)をやろうとする人」のことだったのです。

責任感が強い上司には、例えば企画や提案を持っていった時などに
“どうでもいいこと”にこだわる人が多いのではないでしょうか。
本来、その企画が成功するかどうかが大切なのに、
そんな人に限って書類の書き方等の些末なところにこだわり、
細かい点ばかり指摘してしまいがちです。
そんな上司は、業務を進める上においても指示が細かすぎることがあります。
部下に、自分のやり方を強要する上司や、
上司から、何から何まで仕事のやり方を強いられる部下がいます。
そんな部下は言われたことをやるだけで、
自身のモチベーションを上げて仕事に臨むはずがありません。

責任感が強い人って、ミスを指摘されるのがイヤな人なのかもしれません。
小さなミスも許せないから、他人に任せることができず、
「自分が自分が」と何でも自分でやってしまう、
もしくは自分のやり方を押し付けてしまうのです。
すると、相手のことが目に入らなくなり、相手の気持ちを考えられなくなってしまいます。
しかし、これからの時代に大切なのは「本質的なところで成果を上げること」であり、
それを実現させるためにみんなで頑張ることなのです。
本当にやらなければならないこととは何か。
そして、それを成功させるためには、どうしたらいいのか。
そのために必要なのは、一人の責任感ではなく、成功させるための協働力なのです。
そして、そんな協働力・チーム力をつけるために大切なものが学校教育の中にあると考えます。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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