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「2040年問題」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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2040年問題ってご存知ですか。
2040年は、1971~74年の第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代が、
65歳以上の高齢者となり高齢者人口がピークに達する年で、
加えて、6,600万人の現役人口(20歳-64歳)が5,542万人にまで減少し、
1,100万人余りにのぼる働き手不足が懸念されている年なので、
さまざまな問題が発生することが予想されています。
ちなみに、その後も現役人口は減少し続けるので、
全人口に占める75歳以上の割合はますます高くなり、
約25%に達する「超々高齢化社会」に突入してしまいます。

医師の養成には、医学部で学ぶ6年間に続けて、
2~5年間の臨床研修や専門研修などが行われるため、10年以上の時間が必要です。
従って、今、医師を志している中高生が医師として活躍するようになるのは、
ちょうど「2040年問題」が現実となっているころです。
当然、そんな時代に求められる医師像は今とは違っているでしょう。
そこで、そのころの世相の様子に関して、想像できるものをいくつか挙げてみると、
〇よりいっそう進んでいる超高齢化社会
〇現役世代の減少による若年層の疲弊
〇貧富の格差
〇大都市への人口集中
○医師や看護師・介護士の不足
〇海外の人々の受け入れ
〇新しい医療技術の開発
〇対処医学から予防医学へ
〇倫理的な問題 
等、サクっと考えただけでも問題は山積みです。

そんな時代に「医師になろう」としている人なら、
医師としてのモラルというか「どうして医師になりたいのか」を明確にしておく必要があります。
単に「自分は頭がいいから」といった安易な気持ちで、なんとなく医学部を受験するのではなく、
「強い思い」をもって医師を目指してほしいと考えます。
逆に、ほんの十数年先のこと(=自分が働き始めるころのこと)すら
イメージできない先見力のない人は「医師に不向き」と言わざるをえません。

ちなみに、先見力とは「未来を見通す力」ですが、
SFの中に出てくる予知能力という類の超能力のことではありません。
物事の動向を見定めた上で、それに対して「今、なすべきこと」ができるようになることでしょう。
この先見力はとても大切です。
「目先の些事に振り回され、あたふたして過ごす」のではなく、
「少し先のことを考えて、先手を打った行動をする」と、
間違いなく「有利な人生」を手に入れることにつながります。
そのため、高校では大学合格という近視眼的な勉強だけではなく、
先のことを考える力をつける教育が大切だと考えます。
私が考えるところの「先見力がある」の反対語は、「未熟」です。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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