「医学部面接」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央 更新日: 2024年1月11日
高校生のための進路ナビニュース
「なぜ医師になりたいのか?」
医学部の面接に限らず、志望理由はどんな面接においても訊かれる質問です。
それに対して、志望動機が明確な人は、素直にそれを答えることが大切です。
本心から言っていることは、必ず面接官に刺さります。
ただ、いくら本心でも「親が医者だから」とか、
「幼いころに病気を診てくださった先生がとてもいい人だったから」等と応えるのはバツです。
なぜなら、オリジナル性がないからです。
もう少し丁寧に言うと、これらは「医師を目指すきっかけ」に過ぎないからです。
面接では、そこから自身の「医師を目指すようになった理由」を論理展開して話さないといけません。
同じような理由で「人の命を守る仕事に就きたい」もバツです。
医師以外にも人の命を守る仕事はあるし、そもそもどんな仕事も「人の幸せを生み出すもの」なので、
医師だけが特別ではないからです。
話さないといけないのは「人の命を守る多くの仕事の中から、なぜ医師を選んだか」です。
また、派生形として「どんな医師になりたいか」という質問もあります。
これに「患者の気持ちを大切に考えられる医師」などと答えると、バツです。
医師は病気を治すのが仕事なのに、それを差し置いて「患者の気持ち云々」と言いたいのであれば、
医師の仕事内容に言及した上で「患者に寄り添うことが治療にも結びつく」ことまでを
論理展開して説明しなければなりません。
では、明確な(崇高な)動機がなく、ただ「成績が良かったから」「親が医者」等の理由から、
なんとなく医学部を受験する生徒の場合はどうでしょう。
例えば、「高校では文化祭や体育祭など、学校生活を充実させることに一生懸命でした。
だから、どんな仕組みで社会が動いているかを理解していませんでした。
そんな状況において『進む道を決めろ』と言われても、難しいことでした」と素直に応え、
続けて「貴学で学べること(正確に調べておくこと)から、
(目標とする生き方を明らかにした上で)自分を磨きたい」、
そして「それを、医師になる糧にしたいと考えます」で、どうでしょう。
これなら及第点はもらえるのではないでしょうか。
なぜなら、この応え方の中には「論理的な流れ」があるからです。
実は、面接で最も大切なのは、自分の考えていることを論理的に伝えることなのです。
そして、これは医師に限ったことでありません。
なぜなら、今、社会で必要とされているのは「論理性をもって物事を考えられる人」なのですから。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』