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「医学部面接」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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「なぜ医師になりたいのか?」
医学部の面接に限らず、志望理由はどんな面接においても訊かれる質問です。
それに対して、志望動機が明確な人は、素直にそれを答えることが大切です。
本心から言っていることは、必ず面接官に刺さります。
ただ、いくら本心でも「親が医者だから」とか、
「幼いころに病気を診てくださった先生がとてもいい人だったから」等と応えるのはバツです。
なぜなら、オリジナル性がないからです。
もう少し丁寧に言うと、これらは「医師を目指すきっかけ」に過ぎないからです。
面接では、そこから自身の「医師を目指すようになった理由」を論理展開して話さないといけません。

同じような理由で「人の命を守る仕事に就きたい」もバツです。
医師以外にも人の命を守る仕事はあるし、そもそもどんな仕事も「人の幸せを生み出すもの」なので、
医師だけが特別ではないからです。
話さないといけないのは「人の命を守る多くの仕事の中から、なぜ医師を選んだか」です。
また、派生形として「どんな医師になりたいか」という質問もあります。
これに「患者の気持ちを大切に考えられる医師」などと答えると、バツです。
医師は病気を治すのが仕事なのに、それを差し置いて「患者の気持ち云々」と言いたいのであれば、
医師の仕事内容に言及した上で「患者に寄り添うことが治療にも結びつく」ことまでを
論理展開して説明しなければなりません。

では、明確な(崇高な)動機がなく、ただ「成績が良かったから」「親が医者」等の理由から、
なんとなく医学部を受験する生徒の場合はどうでしょう。
例えば、「高校では文化祭や体育祭など、学校生活を充実させることに一生懸命でした。
だから、どんな仕組みで社会が動いているかを理解していませんでした。
そんな状況において『進む道を決めろ』と言われても、難しいことでした」と素直に応え、
続けて「貴学で学べること(正確に調べておくこと)から、
(目標とする生き方を明らかにした上で)自分を磨きたい」、
そして「それを、医師になる糧にしたいと考えます」で、どうでしょう。
これなら及第点はもらえるのではないでしょうか。
なぜなら、この応え方の中には「論理的な流れ」があるからです。

実は、面接で最も大切なのは、自分の考えていることを論理的に伝えることなのです。
そして、これは医師に限ったことでありません。
なぜなら、今、社会で必要とされているのは「論理性をもって物事を考えられる人」なのですから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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