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「先見の明」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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10月に藤井八冠が誕生し、にわかに将棋ブームが巻き起こっています。
そんな将棋は、一手先のことを考えるのではなく何十手先のことを、
しかも複数の手筋を読んだ上で、最も良い手順を指すことが大切です。
目先のことだけを考えているようでは、絶対に勝つことはできません。

ところで「先見の明」ってご存知ですか。
確認のために調べてみたところ「何かが起こる前に、それを見抜く能力」とありました。
これは将棋の世界に限ったことではなく、我々凡庸な人間にとっても必要な能力です。
というのも、場当たり的な対応ばかりしているとバタバタ忙しいばかりで、要領よく事が進まないからです。
前の晩に準備をしておくという簡単なことでさえ先見力がなければできないし、
直前になって用意をすると忘れ物をしたり遅刻したりしてしまいます。
加えて「先見の明」の第二義には「先を見抜いて判断、行動する能力」とありました。
そうです、単に先を見るだけではなく「判断し行動する力」、これが大切なのです。
将棋だけではなく、人生にも勝利することができます。
逆に、今起きていることをボーっと眺めて生きている、
SNSから流れてくることをウンウンと言って見ている、流行を後追いする、
そんな人は人生を有利に進めることはできないでしょう。
つまり、少し先を読む力・先見力こそが、
生きとし生ける者にとって最も重要な能力だと言えるのではないでしょうか。
では、どうすれば先見力を手に入れることができるのでしょうか。
それには、幅広い知識を身に付け、
加えて「どうしてそうなるのか」という流れを読み取る力をつけることです。
すると、何かをしようとした時に「こうしたらこうなる」という予見ができるようになります。
 
ところが、今の時代「やりたいことがない」という若者が増えているようです。
そんな人は先のことを具体的に思い描けないから、
毎日をぼんやりと過ごしがちになってしまいます。
まさに、NHK番組のチコちゃんの口癖「ボーっと生きてんじゃねーよ!」です。
そこで、改めて。現代における「先見の明」とは、
それは「先ず、やりたいことを見つけ、明らかにすること」ではないでしょうか。
やりたいことさえ明確にできれば、
「それを実現させるためにどうすればよいか」という先のことを考えられるようになり、
それを行動に移すことによって、
思いどおりの未来を手に入れることができるようになると考えます。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』

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