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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(12)企業見学は大切 ―生徒だけではなく先生も―」筆者・小林英明

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私が参加している進路指導研究会では年に一度、
教員向けの企業見学会を開催している。しかし私が進路担当になった当時は、
しばらく中断しており、復活の話が出たこともあったようだが実現には至っていなかった。
ちょうど私が事務局に加わった頃、勤務校で2年生の企業見学の相談をした地元企業の方から、
先生方にも工場や従業員の様子を見てもらえれば、
自社や業界への理解も進むと思うのだが、という話を伺った。
そこで教員の見学会の話を持ち掛けたことがこの行事の復活のきっかけだったと記憶している。
多くの方々の協力で話は順調に進み「企業見学会」は復活した。
コロナ禍ではやむなく中止にした年もあったが、
キャリア教育支援協議会でご縁ができた企業の協力で「リモート見学会」も試みた。
リモート見学会は参加した教員の評判はまずまずであったが、
やはり「見学会」は「リアル」に限る、という感を強くしたことも確かだった。
いずれここではもう一度「リアル」で見学会を計画したいと思う。

さて、コロナ感染状況が落ち着いた今年、ようやく「リアル」な見学会が復活した。
今回は我々の研究会で古くからお付き合いのある食品物流の倉庫業の企業が引き受けてくださった。
満を持しての「リアル開催」でマイナス20度の冷凍倉庫や
倉庫内を縦横に走るフォークリフトの操作技術の見学等、
貴重な体験もできたが参加教員は思いのほか少なかった。
どうやらコロナ禍を経た学校現場で先生方は、
授業のIT化に対応する新しい知識や技術の習得も求められ、いくら時間があっても足らないようだ。
数少ない就職者のために、しかも希望するかどうかさえ分からない企業の見学に
時間を割くことは難しいのかもしれない。しかし、就職指導教員にとって「企業を知ること」は重要だ。
その企業、その業種を希望する生徒がいるかどうかではない。
「企業」という学校とは全く違った環境に進む生徒の支援のために、
まずは職種や業種にかかわらず少しでも多くの「企業人」の姿、
企業の現場を見て情報を蓄積することが大切だ。
社会人経験を持つ先生方も増えてはいるが、ご自身の就活で「企業訪問」の経験をしていない方もまだまだ多い。
生徒達のために必要なのは特定の業種、職種、企業の情報ではない、
一つでも多くの「職場」を見て知識を増やしておくことだ。

より多くの職業を知って選択肢を増やしておくことの大切さを
生徒に説く先生方は多いが、それは自身にも言える。
より多くの業種、職種、企業の知識を持った教員の支援を受けるほうが生徒は良い結果に近づけるはずだ。
どんな職業についてでもチャンスがあれば知識を増やしておこう、
そのような貪欲さを持つ教員が増えてほしいと願っている。
そして、今回のようなチャンスをより多く提供することが私たちの役割なのかもしれない。

【プロフィール】
元都立高校進路指導主任・
多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与/キャリア教育支援協議会 顧問
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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