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大学定員割れ半数以上 少子化による大学再編も視野に

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少子化による大学存続への懸念がいよいよ顕著になってきた。

23年8月、日本私立学校振興・共済事業団は日本全国の私立大学のうち、
実に半数以上におよぶ53.3%の大学が定員割れを起こしていると発表した。
調査を開始した89年度以降、初めての状況である。
一方、この30年あまりで私大の数は1.7倍の約620校になった。

22年の18歳人口は112.1万人だった。
人口推計によると、
34年の18歳人口は100.5万人、40年には88万になると予測されている
(文部科学省「大学への進学者数の将来推計について」)。

こうしたなか文科省は、
40年には大学の総入学定員の2割を埋められなくなるとする推計を示している。
40年の大学進学者は約10万人減り、約51万人になると予測されていることから、
国内大学の総入学定員(22年は約62万6,500人)がこのまま維持された場合、
定員充足率は現在の101%から80%程度に下がる見込みだ。

進学先を選ばなければ大学に入学できる「全入時代」において、
私大を中心に受験生の獲得競争は激化している。
しかし、東京や関西の大規模有名校が人気を維持する一方、
少子化が激しい地方にある大学や小規模大学の定員割れが著しいのが実態である。
その証拠に、日本私立学校振興・共済事業団による調査では、
東京、大阪周辺と愛知の3大都市圏の
大規模校(収容定員8000人以上)の充足率は103.62%だが、
その他の地域にある小規模校(収容定員4000人未満)は90.83%と、
10ポイント以上の差がある。

これらの状況を踏まえ、
文科省は学生数が定員の5割以下となった学部がある大学に対し、
25年度以降の学部新設を認めない方針を打ち出した。
くわえて、定員割れの私大には改善計画を示すように求め、
従わない場合は国からの私学助成金を削るといった案も示した。

これまで文科省は、
大学の存廃に関わる議論に踏み込んでこなかった。
しかし、中央教育審議会に対して、
国公立大を含め810校にまで膨らんだ大学の「適正な規模」を探るように諮問したことから、
今後は「大学市場」における統合や撤退もいとわない動きが出てくる可能性がある。

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