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「デジタル化時代は『教え込む教育』を放逐するか」筆者・葉養正明

高校生のための進路ナビニュース

新型コロナウイルスの発生が世界各地に顕在化し、
学校が感染源となる懸念から、国際社会には「学校閉鎖」の動きが急速に広がった。
我が国でも、発生報道に間髪を入れず政府主導型の「学校閉鎖」が打ち出され、
いわゆる「一斉休校」が全国各地に広がることになった。
その措置は今日ではほぼ解消されているが、
UNESCO、国連、WHO、国際銀行等々の国際機関は「学校閉鎖」がもたらす負の影響に
いち早く警鐘をならし、子どもの学びの場が失われることに強い懸念を表明してきた。
代替策として国際社会に広がったのはオンライン学習であった。
我が国の場合には、コロナ以前から、教育のデジタル化が模索されてきていたから、
デジタル社会構築に前のめりになる状況を活用して、
学校デジタル化の加速化に舵を切ることになった。

ところで、学際的分野の研究会に加わると、
「今の教育」を指弾する厳しい論調に出くわすことはまれでない。
それは、「教育は社会の未来」という思いの裏返しでもあるが、
「今の教育」という言葉に込められているのは「教え込む教育」のイメージである。
Educationという言葉の明治初期の訳語が「教育」とされ、
「教え込む教育」の歴史に結合した、それは、しかし誤訳であった、
という歴史経緯に言及する議論にも遭遇する。

では、学校のデジタル化のなかで登場している「個別最適な学び」という標語は、
どう受け止めれば良いのだろう。
「教え込む教育」を放逐した「学び」に特化した教育活動を想定している、ということなのだろうか。
「教育」とは何かについては、教育学の歴史の中で連綿と論じられてきたが、
分厚い教育学辞典の1冊をひもとくと、
「教育」のドイツ語として

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