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「探究的な学びのゆくえ」筆者・法政大学キャリアデザイン学部 教授 児美川孝一郎

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夏休みに入る前くらいからか、面識のない高校生からメールが届いて、
「キャリア教育について調べているので、ぜひインタビューに応じてほしい」
といった依頼を受けることが、何件か続いた。
背景にあるのは、いま学校現場で本格化している探究学習であろうが、
いろいろ考えさせられることもある。

実際にインタビューに応じてみるとわかるのだが、
高校生たちの、インタビューにのぞむ準備や事前学習の質は、本当にまちまちである。
中には、文献等での学習は万全で、そこに加えてこういう問題意識をぶつけてみたいから、
インタビューに来たのだなと思わされるような、圧巻な生徒もいる。しかし、他方、
事前に文献に目を通してさえいれば、本来はしなくてもよいような質問を繰り返す生徒もいる。
基本的な用語や制度についての理解が覚束ない場合もある。

考えてみれば、教科書もなければ、正解もないのが、探究学習である。
そこに、教師による指導がどの程度入っているのかも、実はまちまちである。
そうであれば、探究的な学びを通じて、
自ら調査し、思考し、判断するような深い学びを実現する生徒、
そのことを自らの進路やキャリア形成につなげていく生徒も、
確実に登場してくるだろう。しかし、探究的な学びの「型」(手順、方法等)に沿うことだけで
よしとするような学習を展開する生徒も少なくないのかもしれない。
探究においては、教科学習以上に、生徒間の学習成果に差が生じる。
学校現場において、それをどうコントロールするかは、なかなか困難で悩ましい問題であろう。

高校までの先生がたに、すべてを任せておけばよいとも思わない。
今回の経験も踏まえ、大学教育として、あるいは大学教員として、
高大連携(接続)の観点から何ができるのかについても考えてみたい。

【プロフィール】
教育学研究者。
1996年から法政大学に勤務。
2007年キャリアデザイン学部教授(現職)。
日本キャリアデザイン学会理事。
著書に、『高校教育の新しいかたち』(泉文堂)、
『キャリア教育のウソ』(ちくまプリマー新書)、
『夢があふれる社会に希望はあるか』(ベスト新書)等がある。

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