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「100%の努力」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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明治から大正、昭和初期にかけて経済や外交、内政にわたってさまざまな献策を行い、
政界の黒幕とも呼ばれた杉山茂丸は、こんな言葉を残しています。
「粗食でもいいから十分に食え、十二分に食うな。
栄養をとったら、くたびれるまで十分に働け、十二分に働くな。
くたびれたら十分に眠れ、十二分に眠るな」
粗食でも……栄養をとったら……、というところに時代感は否めませんが、
それでも「十二分はダメ」「(言外に)八分目もダメ」と言っていることは、
時代を超越した真理に違いありません。
これを分かりやすく言い換えると「100%の努力」ということですから。

ところが、目まぐるしく変化する現代においては、
「120%の努力、成果を出すこと」が求められています。
でも、120%の努力って何でしょう。
コップに100%を超える水を入れると、こぼれてしまいます。
すなわち、120%とは限界を超えた不可能な状態のことを示しているのです。
だから、そんな効率の悪いことをしてはいけません。それは、無駄な努力なのです。
ちなみに、先の言葉は、次のように続いています。
「なにか問題に出会ったら、一つずつよく考えて検討せよ。
そして、考えがまとまったら、いかなることがあってもやり遂げるのだ」と。
だって、人はできることしかできないのですから。それで十分なのです。
ただし、できることは最後まできちんと仕上げなければなりませんが。

そのために必要なことが一つあります。それは、自分の100%を定義しておくことです。
自分にとって本当に必要なことは何なのか。今、自分にできることは何なのか。
あらかじめ自分の100%を見定めておくことが大切であり、
間違って80%や120%に設定してしまうとうまくいきません。
なぜなら、100%の力を出しきらず、手を抜いて、80%の力で適当にやっていると、
後で「あの時、〇〇しておけばよかった」と後悔する結果になってしまいますから。
逆に自分の力を超えたプラス20%のことをしようとすると、
時間や心に余裕がなくなり、オーバーフローしてしまいます。
すると、目の前にあったチャンスさえつかむことができず、全てを台無しにしてしまいますから。

ただ、「100%の努力」は大切ですが「努力が100%報われる」わけではありません。
結果がどうなるかが問題ではないのです。
100%の力でやり遂げることが大切なのです。先の言葉は最後にこう結んでいます。
「悪い結果になることもあろうが、いずれにせよ、その経験だけは決して忘れてはいけない」
今の自分の100%の努力は、もっと成長した未来の自分につながっていくのです。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
現在、日本SF作家クラブホームページにて『潜入捜査』が公開中。
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