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「確率って面白い」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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昭和30年代生まれの私にとって、子供の頃の習い事といえば習字と算盤でした。
当時は、学習塾に通っている人は少なかったですね。と言いながら、私は通っていましたが。
ただ、今のように「成績を上げるための勉強」ではなく、教養を高める勉強を教えてもらっていました。

英語なら暗唱例文を覚えるだけです。
その後、覚えた暗唱例文を使って、それを少し変えながら友達と話をするというものでした。
数学も面白かったです。例えば、確率について。
「A、B、Cの箱のどれかに、当たりが入っています。さて、どの箱を選んだら得ですか」、
そんな授業が行われていました。
でも、こんなの簡単です、どの箱を選んでも1/3の確率なのですから。
すると、続けて「あなたが選んでいない箱からハズレ箱をオープンします。
すると2つの箱が残りますが、あなたが最初に選んだ箱を変えることができます。
さて、変えたほうが得ですか、変えないほうが得ですか、変えても変えなくても同じですか」
これも簡単ですよね。元々1/3だった確率が、1/2になっただけですもの。
だから、「変えても変えなくても同じ」に間違いありません。
ところが、変えたほうが当たる確率が高くなるのです。
「えっ」って感じですよね。これを、簡単に説明すると、

『A 当たり、B ハズレ、C ハズレの場合』
(1)最初にAの当たりを選んだ場合 → B(もしくはC)を公開した後に、
 選んだ箱を変えると、C(もしくはB)の「ハズレを選ぶ」ことになります。
(2)最初にBのハズレを選んだ場合 → Cのハズレを公開した後に、
 選んだ箱を変えると、Aの「当たりを選ぶ」ことになります。
(3)最初にCのハズレを選んだ場合 → Bのハズレを公開した後に、
 選んだ箱を変えると、やはりAの「当たりを選ぶ」ことになります。

だから、最初に選んだ箱を変えたほうが、2倍も当たる確率が高くなるのです。
「えっ」って思いませんか。でも、その説明をされた後で100回くらいやってみて、
本当に「変えたほうがよく当たった」ことを覚えています。
不思議ですよね。でも、それで私は確率って面白い、
ひいては数学って面白いと思うようになったのですが。

いつの間にか「勉強は大学合格のために暗記するもの」となってしまいました。
そのため、「考える」という大切なことを教育しなくなったように思います。
本来、勉強は面白いことなのです。
だから、生徒には「勉強は面白いんだ」ってことを伝えなければ。
それが、本来の教育の姿なのではないでしょうか。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
現在、日本SF作家クラブホームページにて『潜入捜査』が公開中。
日本SF作家クラブ

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