「大人になる」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央 更新日: 2023年7月24日
高校生のための進路ナビニュース
小学校の時、国語の教科書に載っていたお話です。
題名も、誰が書いたお話かも分からないし、
きちんとした内容も覚えていないのですが、とても印象に残っている箇所があります。
それは、「旅行に行くと、大人たちは景色を見続けて『感動した』と言うけれど、
ボクは何とも思わない。どうして大人は景色を見て喜んでいるのだろう」
こんな感じのお話でした。
子供のころって、やりたいことがいっぱいです。
だから、絶えず動き回っていて、じっとしていません。
反面、すぐに飽きてしまうので、
次から次へと新しいことをしないと退屈してしまいます。
そのため、どんなに美しい風景を見ても、
まるで変わらない景色に退屈し、飽きてしまうのです。
だから、どうして大人たちが全然変化のない景色を見続けて、
「感動した」というのかが、理解できないのです。
おそらく子供の10秒が大人の10分くらいの感覚なのでしょう。
大人に比べて子供のころの時間が長かったのは、
短時間のあいだに、いろいろなことをやっていたからだと思います。
つまり、大人になるとは、
「始めたことを、飽きずに続けられるようになること」なのでしょう。
では、いつごろから景色を見続けて感動するようになるのかというと……。
先の教科書に載っていたお話は、その後こう続いています、
「仕方がないから、ボクも景色を見て『キレイだね』って言うと、大人たちが喜ぶんだ」、と。
実は、これが大人への第一歩なのです。社会性の芽生えなのです。
相手を不快な気分にさせないように、気遣った言動をする。
それができるようになることが大人になることなのです。
結局、相手のことを思ってあげられるかどうか、それが大切というわけです。
でも、今は他人のことはお構いなしで「自分、自分」ばかり。
そんな若者が増えたように思います。が、
そこで大切となるのが、やはり教育だと考えます。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」