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「大人になる」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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小学校の時、国語の教科書に載っていたお話です。
題名も、誰が書いたお話かも分からないし、
きちんとした内容も覚えていないのですが、とても印象に残っている箇所があります。
それは、「旅行に行くと、大人たちは景色を見続けて『感動した』と言うけれど、
ボクは何とも思わない。どうして大人は景色を見て喜んでいるのだろう」
こんな感じのお話でした。                

子供のころって、やりたいことがいっぱいです。
だから、絶えず動き回っていて、じっとしていません。
反面、すぐに飽きてしまうので、
次から次へと新しいことをしないと退屈してしまいます。
そのため、どんなに美しい風景を見ても、
まるで変わらない景色に退屈し、飽きてしまうのです。
だから、どうして大人たちが全然変化のない景色を見続けて、
「感動した」というのかが、理解できないのです。
おそらく子供の10秒が大人の10分くらいの感覚なのでしょう。
大人に比べて子供のころの時間が長かったのは、
短時間のあいだに、いろいろなことをやっていたからだと思います。
つまり、大人になるとは、
「始めたことを、飽きずに続けられるようになること」なのでしょう。

では、いつごろから景色を見続けて感動するようになるのかというと……。
先の教科書に載っていたお話は、その後こう続いています、
「仕方がないから、ボクも景色を見て『キレイだね』って言うと、大人たちが喜ぶんだ」、と。
実は、これが大人への第一歩なのです。社会性の芽生えなのです。
相手を不快な気分にさせないように、気遣った言動をする。
それができるようになることが大人になることなのです。
結局、相手のことを思ってあげられるかどうか、それが大切というわけです。
でも、今は他人のことはお構いなしで「自分、自分」ばかり。
そんな若者が増えたように思います。が、
そこで大切となるのが、やはり教育だと考えます。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」

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