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「超ファインプレーは、いらない」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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野球シーズン到来です。今年も素晴らしい試合を期待しています。
さて、いつだったか世界の盗塁王・福本豊さんの解説でびっくりしたことがありました。
それは、ダイビングキャッチの美技を決めた選手に対して、
「あんなプレー、したらアカン」と言ったことです。
誰もが喝采する超ファインプレーだったのに、です。
福本さんによると、
「自分の力以上のもの、120%の力を出した超ファインプレー
 =無謀なことをすると怪我をする確率が高いから、
『優勝が決まる』というくらいの本当に大切な試合以外ではやったらダメ」
というものでした。
確かに、怪我で戦線を離脱するとチームに迷惑をかけてしまいますから。
ただし、これは「手を抜いた仕事をしろ」と言っているわけではありません、
「100%の力を出せ」と言っているのです。
そして、その100%のレベルを上げろとも言っておられます。
つまり、他の人が120%の力を出さないとできないことを、
普通の力でできるように練習しなければならない、ということです。
 
私が幼かったころ、阪神タイガースにマイク・ラインバックという選手がいました。
江川卓投手のデビュー戦で逆転スリーランを放ったこと、
日本で初めて目の下を黒く塗って出場した選手として有名ですが、
当時はハッスルプレーで人気を博していました。
特に外野の守備では華麗なダイビングキャッチを連発していたので、
子供ながらに「守備のうまい選手だなあ」と思っていました。
ところが、本当は下手だったそうです。
球に追いつくのが遅かったので、平凡なライトフライなのに、
常に120%の力を出してダイビングキャッチをしなければ捕れなかったそうなのです。
これは直接的には関係のないことですが……、
ラインバック選手は自動車事故を起こし、若くして命を落としてしまいました。

120%の力を出すということは、無茶をするということにつながります。
無茶にはリスクが伴うので、よほどのことがない限り、してはいけないのです。
だから、野球に限らず何をするにしても100%の力を出して、
できることをきちんとやればいいのです。
ただし「できることのレベルを上げる」ことは重要です。
そのためには、やはり「不断の努力」が大切であり、
そんな努力する人を私は応援したいと思っています。
そして、「凄いことをやっても凄いと感じさせない本当に凄い人」
を育てる教育を目指したいと考えています。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」

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