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「会話を楽しむために」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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ミシガン大学を中心に行なわれている世界価値観調査(World Values Survey)によると、
先進諸国の中で「日本が最も社会的孤立度(social isolation)が高い」そうです。
社会的孤立とは「家族や仲間以外の人と会う機会が少ない」、
「自分のパーソナルスペース外にいる人とは付き合わない」ということですが、
多くの日本人が他人と交わることなく、「自分の世界の中」だけで過ごしているようです。

自分と同じ考えや趣味の仲間とだけのコミュニケーションを続ける人々、
ソフトな関係を求めてSNS内で仲間と戯れる人々。しかし、
そういう人が自分と違う考えの人と話をすると大変です。
論理性なんてまったくないままに、「それは間違いだ」と相手を全否定してしまいますから。
本当は、意見の異なる人とのコミュニケーションを大切にしなければならないのです。
そのためには相手を否定するのではなく、
論理的思考(ロジカルシンキング)をもって話を進めることが大切です。
「自分の考えを裏付けるもの」や「そう考える根拠」を明示し、
「相手がなぜそう言っているのか、その理由を理解」し、
その上で「互いの考え方の違いについての根本」を探り、
そこから「アウフヘーベンした結論」や「妥協点を見つける」ことが大切なのです。
そんな議論の中から正しいコミュニケーションが生まれる、それが大人の会話力です。

そういう力をつけるためにどうすればよいか、それにはディベートが有効です。
ディベートとは「第三者である審査員を説得するために
肯定派・否定派に分かれて論理的な議論するもの」なので、
これによって社会人としての知識や技量そして会話力が培われます。
そして、欧米ではディベート学習が盛んです。
しかしながら、日本では学習指導要領の中で、
日本語での教育ディベートに関しては触れられていません
(英語学習の中ではディベートについて述べられている)。
論理的な議論をする教育を受けておらず、ロジカルな話ができない日本人。
そんなことでは、ますます社会的孤立度が高まるのではないでしょうか。
加えて、論理的な話を展開することができない日本人が、
世界で活躍することができるのか、とても心配です。
コミュニケーション力を高めるためにも、
「日本語でのディベート」を学校教育に取り入れることが大切だと考えます。
世界で活躍! なんて大仰なことでなくとも、
会話力を高めることは「円滑な人間関係」に役立つに違いないのですから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」

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