進路ナビニュース

「ボッコちゃんもビックリ」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

高校生のための進路ナビニュース

「エモクラシー」ってご存知ですか。
スコットランド出身の歴史学者ニーアル・ファーガソンが
「もはやデモクラシーの時代ではない。多数派よりも感情が、
理性よりも感覚が重視されるエモクラシーの時代を生きている」
とThe Times紙に寄稿した記事から生まれた言葉なのですが、
emotional(感情的な)+cracy(支配力等の意を表す名詞語尾)の合成語で
「人々は感情に支配されている」を表しています。
あおり運転やSNS問題投稿などの身勝手なニュースが後を絶たない昨今、
まさに正鵠を射た言葉だと思います。
後のことを考えずに好き勝手に行動する人。
他人の迷惑が考えられない、社会に思慮が及ばない迷惑行為をする人々。
そして、それを面白がる群衆。
今やエモクラシーは社会を脅かす問題となっています。
だからこそ、感情に支配されるのではなく、
人間として「考えて行動する教育」が必要でしょう。

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、人の生き方を
「快楽を追求する生き方」「地位や名誉を追求する生き方」
「真理を追究する生き方」の3つに分けています。しかし、
快楽を求め過ぎても、地位や名誉を求め過ぎても人は幸せになれないと考え、
「真理を追究する生き方こそが幸せな生き方である」と考えました。
幸せになるためには、やはり真理の追究、
つまり「考える教育」が大切ということでしょう。

そして、今や話題沸騰のChatGPT(OpenAI社)ですが、もう驚きです。
例えば、ほんの数秒でテスト問題を作ってくれます。
プログラミングも得意なのでExcel関数なんてお茶の子さいさい。
チャットしようと入力すれば永遠にやりとりが続きます。
会話をしてくれるロボット「ボッコちゃん※」もビックリです。
(※星新一『ボッコちゃん』収録)
シンギュラリティ問題が提起されてからまだ数年、
もうこんな時代が来てしまいました。
ところで、こういう時代に必要な「人間の知」とは何でしょう?
ちなみに、エモクラシー・アリストテレス・ChatGPTについての知識がなければ、
三者を結び付けて考えることはありません。
つまり「まず知識が必要」ということは間違いないでしょう。
その上で、知識を活かすための「考える教育」が大切なのです。
これからの教育は「知識一辺倒」ではなく、
社会で活躍するための「考える力」を育むことも大切にしなければなりません。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」

TOP