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「現代文の勉強」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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入試の時期となると、
「現代文の入試問題を著者は正答できるか」が話題になることがあります。
実は先日、知り合いの作家が作品を使われました。
そこで、実際に解いてみたところ正答できなかったようで、
「オレ、こんなことを考えて書いてたのかなぁ」と言っておられました。
私は「やっぱり」と思いました。

では、なぜこんなことになるのでしょうか。それは、
入試問題では「出題者が、その文章をどう読み解いたか」を問うているからです。
つまり「出題者」の意図を読み取って解答しなければならないので、
「オレ、こんなことを考えて書いてたのかなぁ」となってしまうわけです。
作家には人間を観察する目があり、面白いことを見つけ出す才能があります。
つまり、「興味深いことを見つけ出し、それを小説に表現する力」があるということです。
ただし多くの場合、そこに思想なんてありません。
面白いから書いているのであって、崇高な思いをもって書いているわけではないのです。
だから、小説を読んで、そこから何を感じ取るかは読み手の自由です。
もっと言うと、読書する中で自分を主人公に置き換えて、
「自分ならどうするか」を考えるのも楽しいことです。
つまり、作者と読み手の考えは、違っていて当たり前なのです。

ところが、学校で現代文を学ぶ目的は、ちょっと違っています。
だから、読書が好きだからといって、現代文の成績がいいとは限らないのです。
では、なぜ現代文を勉強しなければならないかというと、
それは「読解の仕方」を身に付けるためです。
文章を読んで、そこに書かれている内容を過不足なく読み解き、
そして「そこから何を学び取るか」を習得させなければならないからです。

人は「他人の気持ちを100%理解する」ことはできません。
でも、そんな分かり合えない相手とでも、
きちんとしたコミュニケーションをとらなければならないのです、
世の中においては。
でも、文章を読み取る能力を高めることによって、
「相手がどんなことを考えているのか」を考えることができるようになります。
つまり、現代文の勉強は、「その能力を身につけるため」にあるのでしょう。
これを言い換えると「理解力」であり「論理的思考力」となるのですが、
健全な社会生活を送るためには、この力が重要です。
だから、そんな力を身に付けるためにある現代文の勉強は、
とても大切なのです。

読書は勉強ではありません、面白いものなのです。
中には「読書は面倒くさい」などと思っている人がいるかもしれませんが、
読書は娯楽なのです。
だから、趣味としての読書の楽しみに、もっともっとはまってほしいと思います。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」

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