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「やりたいことをやるために」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

高校生のための進路ナビニュース

共通一次試験、センター試験、大学入学共通テスト。
名称は変われども、大学入試は大変です。
これは日本に限ったことではありません。
アメリカではSAT(Scholastic Assessment Test)という、
大学の合否の基準になるテストが実施されていますし、
韓国では大学修学能力試験が行われています。
それぞれに過酷な試験なのですが、
中でも中国の普通高等学校招生全国統一考試、通称「高考」は凄まじいものです。

中国には88の国家重点大学(1978年選定時の数)があるのですが、
その合格に向けて毎年1000万人以上の受験生がしのぎを削っています。
(日本の共通テストの受験者数は50万人程度)
合格率は5%以下、まさに狭き門、壮絶な受験戦争です。
というのも、中国においては国家重点大学を卒業することが、
「社会的に上昇できる唯一のルート」であり、
他の大学を卒業するのとでは天と地ほどの差があるからです。
そのため、高校の3年間は(もしかすると、もっと幼い時期から)
朝から深夜までひたすら勉強し続けなければならず、
恋愛どころか、部活すらやる暇がないようです。
そんな体制が良いかどうかは分かりませんが、
世界には「それほどまでに勉強している人がいる」ことは、
知っておく必要があるのではないでしょうか。

だからと言って、日本の学生たちの誰も彼もに
「もっと勉強しろ」と言うつもりはありません。
なぜなら「将来どんなことをしたいのか」によって、勉強する理由が異なるからです。
しかし、小中学生や高校生の頃は自分の周りの世界しか知らないために、
世の中にどんな仕事があるのかよく知りません。
だから学生時代には、いろいろなことに興味をもって、
いろいろな経験をし、その中から
「一番やりたいことを見つけること」が大切なのです。

勉強とは「自分のレベルを上げること」です。
そして、自分の一番やりたいことを
レベルアップさせるために行動すると確実に力がつきます。
頑張れば頑張るほどできるようになるのですから、楽しいに違いありません。
だからこそ、本当にやりたいことを見つけられれば、頑張り続けられるのです。
先の中国の例においては、
「国家重点大学を卒業することが社会的に上昇できる唯一のルート」なので、
やりたいことを選択できないのです。勉強するしかないのです。

やりたいことをやる、これはとても大切なことです。
ただし、そのためには、
「高考を乗り切るために頑張っている中国人」以上の熱量で臨まなければなりません。
だから学生時代には、「世界の人々に負けない強さ
(言い換えると、本当にやりたいこと見つけ、やり続ける力)」を
身につけてほしいと考えます。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
星新一公式サイト・寄せ書きに「星先生の発想法」が掲載されました。
星新一公式サイト「星先生の発想法」

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