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「高校生はたいへんだ」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

高校生のための進路ナビニュース

中学校を卒業し、高校で勉強するようになると、極端に授業が難しくなります。
なぜなら、具体的な勉強から、抽象的・概念的な勉強へと変わるからです。
というのも、中学までは日常的な範囲内の勉強だったので、
「これを覚えておけば何とかなった」し、
(極言すれば)頭の回転が速い生徒なら、
「勉強しなくても、感覚的に理解できた」のですが、
そんなことでは歯が立たなくなるからです。

例えば数学なら、それまでは日常生活に直結した、
計算や形に関しての勉強ばかりだったのが、
たくさんの記号が使われるようになります。
「sin、cos、tan」なんて三角形だから分かりやすいほうで、
その他にも、「i、Σ、→、log、lim」など、さまざまな記号が使われるようになります。
具体的な数字ならイメージし易いのですが、
そうでないと、実感としてピンとこないでしょう。

そこで、高校生になったときに大切なのは、
その公式が意味することを理解~イメージできるかどうかです。
単に公式を丸暗記しているだけでは、チンプンカンプンになってしまいますから。

これは数学に限ったことではありません。
「水兵リーベ僕の船、を覚えればいい」というものではないし、
「M = F × Lを覚えた」ところで力のモーメントは理解できません。
日本史は年号を覚えるものではなく、
「国際社会の中で、日本人としての自覚を持って生きていく」ため、
日本の良さを学ぶことが目的です。
また、古典文学を通じて、
「日本人のものの見方、感じ方、考え方を身に付けて、
日本人としてのアイデンティティを確立」しておかなければ、
「自国を知らない」って、国際社会の中で笑われてしまいます。
でも、逆に「だから勉強は面白い」のです。
抽象的・概念的な勉強をすることによって、
「なぜそうなるのか」を考えるから楽しいのです。

中学生から高校生になると、勉強の世界観が変わります。
そのことさえ分かれば、高校の勉強は楽しくなるのです。
逆に、いつまでも中学生気分のままで高校の勉強に臨んでいると勉強はツマラナイし、
中学生のときのように「これだけを覚えておけばいい」
という勉強では成績が伸びません。
それぞれの教科・科目には「なぜ勉強しなければならない」のか、
きちんとした理由があります。
だから「どうして勉強しないといけないのか」。
勉強が好きになるためにも、高校生になったときには、
そのことを正確に理解しなければなりません。
もちろん教える側としても、それを理解させなければ。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』

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