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「聖職」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

高校生のための進路ナビニュース

昔と比べ、現在の教師は忙しくなり過ぎました。
というのも、正規の教育課程、
そして放課後の補習や部活動指導などの課外活動に加えて、
今や膨大な量となった事務作業に、
これも増大している生徒指導と保護者対応があるからです。

言うまでもなく、先生にとって一番大切なのは授業です。
にもかかわらず、多くの仕事に忙殺されると、
「充分な教材研究ができなく」なり、
やむを得ず「準備不十分なまま授業に向かう」
という状況にも陥ってしまいます。
でも、そんな適当な授業を受けた生徒が、その教科を好きになるわけがありません。
成績が上がるはずもありません。
すると保護者からクレームが入り、その対応に時間を取られ、
「ますます教材研究の時間が削られてしまう」という、
負のスパイラルになりかねません。

よく「教師は聖職」と言われます。
そこで、確認のために「聖職」を調べてみたところ、「神聖な職業」とありました。
続けて「神聖」を調べると「尊くて侵しがたいこと」となっていました。
つまり「教師は尊くて侵しがたい職業」イコール「凄い人」だったのです。
そして、教師を「凄い人」だと定義するだけで、子供たちの勉強効果が上がります。
なぜなら、凄い(と言われる)先生が教えると、子供たちは集中して勉強するからです。
「あの先生を信じて勉強すれば間違いない」と。
心理学に、ピグマリオン効果
(教師が生徒に対して期待を持って接すると、
それが生徒にも伝わることによって期待通りの結果になる、という心理効果)
というものがあるのですが、その先生バージョンです。

つまり、子供たちを伸ばす教育をするために、
「教師が聖職者として尊敬される環境」を整えることが重要だということです。
先生と先生を支える周りの人々との良好な関係は、
生徒を伸ばす正のスパイラルを生み出し、
それが優秀な人材を育成することへとつながっていくのですから。
ただ、そのためには、まず教師が、
「緊褌(きんこん)一番の決意をもって臨む」必要があることは
言うまでもありません。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』

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