「決断力」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央 更新日: 2023年2月25日
高校生のための進路ナビニュース
以前読んだ4コマ漫画で、妙に印象に残っているものがあります。
(1)〇〇が必要だから、買いに行こう。
(2)これ、良いな。買おうかな。
(3)でも、これも良いし、あれも良い。迷ってしまう。
(4)うーん。どれが良いか決められないから、今日は買わずに帰ろう。
こんなお話でした。
なぜ私がこれを覚えているかというと、日本人は決断力が欠けていると思うからです。
特に、高学歴の人ほど決断できない、行動に移せない人が多いように思います。
これは、幼いころから一流大学に進学するために「勉強させられてきた」、
つまり「これだけを覚えればテストで高得点が取れる」と教えられてきたため、
「自分で考え、判断する」という訓練がなされなかったことに起因します。
結果、「言われたことを唯々諾々とこなすだけ」、
「指示されたことはきちんとできるけれど、
指示がなければ何をしていいか分からない」、
そんな学生が増えてしまったのでしょう。
おそらく、彼らには「言われたことをやっていれば成功する」
という経験しかないのでしょう。
幼いころからできることだけを与えられ、
それをこなしてきたので「失敗した経験がない」のです。
だから、結果が明確でないと安心できない。
そのため、指示のない、結果がどうなるかが分からないことをしようとすると、
考えてしまうのです、結果がどうなるかを。
すると、考えれば考えるほどリスクばかりが浮かんできて、
結局やり出せない。失敗するのが恐いからです。
失敗を恐れて、少しでもリスクがあれば、やろうとしない、決断できないのです。
しかし、結果が分かっている仕事なんて面白くないのでは。
そんな仕事は機械にやらせておけばよいのです。
我々はコンピュータやロボットにできないこと、
新しい判断をする仕事をしなければならないのです。
これからの時代、自分の人生は自分で歩んでいかなければならないのですから。
今、私たちが行わなければならない教育は、強い人を育てることです。
失敗を恐れず、それを乗り越える力をつける教育です。
決断し、実行する能力を育む教育です。
なぜなら、大学合格は決してゴールではなく、
社会の荒波に出て活躍するためのスタートラインに過ぎないのですから。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』