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「ボス」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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「ボス」と言って『太陽にほえろ』の藤堂係長を思い出すのは、
私だけではないでしょう。
「どっしりと構えて、誰からも支持される魅力的な人」
「細かいことは気にせず、いざという時に頼れる人」、
そんなボスって、まさに石原裕次郎さんにぴったりです。
七曲署捜査一係のように、
ひと癖もふた癖もある部下を束ねる「器が大きい人」、
それがボスだと思います。

それはともかく、昔は組織のトップに立つ者に
ボス的な指導者が多かったのではないでしょうか。
というのも、一人ひとりの能力が高かったので、
仕事を任せておいたほうが効率的だったからです。
だから、部下を束ねるボスが必要だったのでしょう。
ところが、最近はボス的なトップに部下がついていけなくなりました。
その証拠に、毎年マスコミが行っている『理想の上司ランキング』では、
「親しみやすさ」「大御所感がない」「周囲の人たちへの気遣いが見られる」、
そんな芸能人が上位に選ばれ続けていますから。
つまり、部下は「自分を導いてくれるリーダー」を求めているのです。

一般的に、リーダーは「目標はどこにあるのかを明確に示し」、
「自分が模範となって働き」「部下の長所を引き出し」、
「適材適所の仕事を与える」ことが必要と言われています。
でも、こう書いてみると、
仕事を「している」のではなく「させてもらっている」感がぬぐえません。
本当に、これでよいのでしょうか。
上司が率先して仕事をし、自分のやり方を部下に押し付けてしまうと、
部下は「自分の仕事ができなく」なり、
部下から「それ以上のものが引き出せなく」なってしまいます。
人は仕事を任されるから頑張るのです、責任感が生まれるのです。
ミスをしても尻ぬぐいしてくれるボスがいるから、
思い切ってやれるのです、挑戦できるのです。
そして、それが「さらなる成長につながる」に違いありません。

入社1年目なら仕方ないかもしれませんが、
リードしてもらうのは新入社員の時だけで十分です。
なぜなら、仕事は「させてもらう」ものではないのだから。
ただし、そのような「仕事をする新入社員」を送り出すためには、
学校教育において「自分で考え、行動できる人」を育てなければなりません。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』

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