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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(6)グループ面接系選考の指導」筆者・小林英明

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最近、グループ面接やグループディスカッションなど、
「グループ面接系選考」の話題をあまり聞かなくなった。
「グループ面接系選考」とは私が、
「グループ面接」「グループディスカッション」「グループワーク」
などを総称して、しばしば使っている表現である。
この言葉が世間で通用するかどうか定かではないが、
さまざまな形式や名称が混在している中では便利な時もある。

「グループ面接系選考」の減少に、
新型コロナウイルス感染対策が影響していることは言うまでもない。
しかし、「第8波」や「インフルエンザ同時流行」などの懸念もある一方で、
小学校入試では「集団行動観察が復活の動き」という話題もある
(10月29日朝日新聞)。
グループ面接系選考が入試や就職試験で復活する日も、遠くないのかもしれない。

教員時代、このグループ面接系の指導には苦労した。
校内で実戦練習の場が作れないのだ。
原因の一つは、該当する生徒が少ないことである。
就職者と進学者の合同練習も考えたが、準備日程がずれるため難しかった。
もう一つの原因は、「人間関係」とでも言おうか、
人数が集まっても全員が「知り合い」や「お友達」のために、
逆に話しづらくなってしまうことだ。

「グループ面接」はともかく、
「グループディスカッション」や「グループワーク」は特に難しかった。
入試や採用試験の場を想定すればそれなりの言葉遣いも必要だが、
この「他人行儀」に生徒達は照れて黙ってしまったり、
思わず笑ってしまったりで練習にならないのだ。
「お友達同士」で変に気を遣い、意見を戦わすことができないこともあるようだ。

これらの問題の解決には、学校の枠を超えた「他流試合」が必要なことはわかっていたが、
当時そのチャンスは非常に少なかった。
各方面の協力を得て教員の研究会イベントで実現したこともあったが、
参加生徒はなかなか集まらなかった。
私の学校も対象者が3~4名いても参加は1名か2名、
ある会場では、私の学校の生徒1名だけで「流会」になったこともあった。
その時は講師のご厚意で、グループディスカッション対策を1対1で指導していただき、
それはそれで生徒は喜んでいた。
幸いにも、3校4名程度で実施できた時の参加生徒は、
「知らない人の前で意見を言うことができて緊張したけど楽しかった」
と言っていた。

必要性は分かっていても「人」が集まらないのは、
「場」が少ないために参加するきっかけが作りにくいからかもしれない。
教員時代に他校の先生に聞いたことがあるが、
校内での練習は難しく、校外で他校生と練習できる場は少なく、
実践練習には困っているとのことだった。
やはり、「グループ面接系選考」の練習は、
「他流試合」の場を設けなければ実践力はつかない。
私も会場相談会などで機会があれば、「グループ面接系選考体験会」等を計画し、
「他流試合」の場を提供したいと思う。

【プロフィール】
元都立高校進路指導主任・
多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与/
キャリア教育支援協議会 顧問
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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