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「ソフトボール大会」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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私が予備校で担任をしていたときに感じたことです。
それは、文化祭や体育祭といった、学校行事が盛り上がる高校出身の生徒は、
概してとても成績が伸びたことです。
行事の盛り上がりと学力とは何の関係もなさそうに思えますが、
イベントで盛り上がれる能力は、勉強にも影響していたのです。

この予備校では、秋に学校を挙げて「ソフトボール大会」を行っていました。
1クラスから2チームが出場、
約50チームでのトーナメント戦だったのですが、大いに盛り上がりました。
というのも、単に当日集まった者たちが、
遊び半分で試合をするのではなかったからです。

淀川河川敷に建っていた学校だったため、
多くの生徒が朝練(勉強ではなく、当然ソフトボール)をしてから登校し、
勉強していました。
休憩時間になると、それぞれのチームが、
勝利に向けての綿密な作戦会議を行っていました。
その時だけは、勉強以上(?)に、本気で臨んでいたのです。
「予備校なのに勉強もさせず、何やっとんねん」
と非難されることもありましたが、
なぜかそんな生徒たちのほうが、合格実績がよかったのです。
それが証拠に、京大クラスや*阪神大クラスが、優勝することが多かったのですから。
(*大阪大、神戸大クラス)
それは、集中力なのでしょう。
そして、何事にも真剣に打ち込めることが、良い結果に結びついたのでしょう。

それに加えて、というか実は一番重要だったのがクラスの一体感です。
予備校には同じ目標を持った生徒が集まっているので、
この一体感がクラスとしての盛り上がりに繋がり、
「みんなで合格しよう」の雰囲気が生まれたのです。
そして、みんなで頑張れていたのです。
きっと、それが良い結果に結びついたに違いありません。

最近は、「最小の努力で志望校合格」「合格への最短距離」
を目指すプログラムを掲げる学校が増えているように思います。
確かに、入試だけを意識した学校生活を過ごし、
入試に必要な科目に絞った勉強をすると、
少ない労力で合格を勝ち取ることができるかもしれません。
しかし、長い人生の中では、決して「合格がゴール」ではないのです。
特に高校3年間は特別な3年です。
その3年間で何ができるか、それが大切だと考えます。
なぜなら、何事にも一生懸命になれる生徒は、
勉強にも、そして社会に出てからも、一生懸命になれるのですから。
ちなみに、勤めていた予備校は「関西にめっちゃ強い」を標榜し、
京都大学の合格実数が関西一の予備校でした。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
https://yomeba-web.jp/special/ss-cam5/

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